緑のカプセルの謎

The Problem of the Green Capsule   1939

 小さな村ソドベリイ・クロスの煙草と菓子を売っているテリイの店。ある日、テリイの店で売られたチョコレートを食べた子供が死亡した。また、同様に同じ日にチョコレートを買った者がそれを食べたところ、苦さを訴え吐き出していた。警察が調べたところ、全部で10個の毒入りチョコレートが存在していたようだ。

 最初はテリイの店の者に容疑がかかったが潔白が証明され、その後、チョコレートを食べて子供が死亡した日にマージョリィ・ウィルズが妙な行動をとったということで村人達から疑惑の目が向けられつつあった。それは、マージョリィの伯父の富豪であるマーカス・チェズニィの日頃の評判の悪さによるものでもあったのだが。

 マージョリィのとった行動とは、その日テリイの店の前でマージョリィは死亡することとなった子供と出会う。(マージョリィは日頃、その子を可愛がっていた)マージョリィはその子にテリイの店でチョコレートを買ってきてと買い物を頼む。その子が店でチョコレートを買ってきた後、マージョリィは一旦、菓子の袋をポケットにしまったが、それを出して中身を改めると欲しかったチョコレートと違うので店へ行って取り替えてもらってくれないかと、再び子供に頼む。子供は快く引き受け、チョコレートを取り替えてくる。そしてマージョリィはそれを受け取り、子供に駄賃を与え立ち去るのだった。その後、子供は与えられた駄賃で例のチョコレートを買うことになり、その夜にそれを食べ死亡する。

 マージョリィに嫌疑がかかっているものの、確たる証拠はない。まず、彼女がどこで毒を手に入れたのかがわからない。また、彼女が取り替えたチョコレートの数は6個だった。そして彼女にはそのようなことをする理由がない。決め手を欠いたまま捜査は難航していた。そして、この事件はロンドン警視庁のアンドリュー・エリオットに持ちかけられることとなったのだ。

 そしてさらに、チェズニィ家のマーカス・チェズニィが青酸の毒によって死亡したという事件が起きたのであった。

 事の発端は日頃犯罪を研究していたマーカス・チェズニィが村で起こった、彼の姪が嫌疑をかけられている毒入りチョコレートの事件の謎を究明したということであった。彼はその究明のためにチェズニィ家の者達の前である公開実験を行うという。そして、その公開実験を行ったとき、その実験の中で彼は死亡したのである。

 事件当日、一同は夜中の12時にマーカス・チェズニィによって部屋に集められた。その日集まったのは、姪のマージョリィ・ウィルズ、マージョリィの婚約者・ジョージ・ハーディング、マーカスの友人で心理学者のイングラム教授。マーカスの弟ジョウ・チェズニィも呼ばれていたのだが、医者の彼は急の往診により出かけていた。

 マーカスは集められた三人にこれから演技を見せるという。彼はデスクに座る自分にだけ照明があたるようにし、他は闇に閉ざされていた。さらにマーカスは、絶対に口を聞いてはならず、何が起こっても妨げてはならないという。そしてマーカスはペンをとって何か書くまねをしていると、庭の窓から一人の男が入ってくる。それはレーンコートを身に付けた六フィートもある男で、シルクハットをかぶり黒眼鏡をかけていた。マーカスはその男に話しかけ、これでおまえの仕事は終わった、と告げる。するとその男はポケットから緑色のカプセルを取り出し、マーカスの口の中に無理やり突っ込み部屋から出て行った。そこで演技は終了した。

 マーカスは普段果樹園で助手を勤めているウィルバーに、もう出てきていいぞ、と呼びかけるが反応はなく、一同が捜してみると何者かに襲われて木の影に倒れているのが発見された。さらに突然、マーカスは苦しみ始めて、そこで絶命することになったというのだ。

 マーカスはこの実験に対して皆に質問状を用意していた。彼はその問いかけによってなにを明らかにしたかったのだろうか? そしてそのマーカスを堂々と皆の前で殺害したのは誰なのか? さらには村の毒入りチョコレート事件の顛末とは?? この謎に対し、フェル博士は毒殺講義をもって犯人を明らかにする。



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