爬虫類館の殺人

He Wouldn't Kill Patience   1944

 時は第二次大戦中。

 爬虫類館で顔を合わせた二人、ケアリ・クイントとマッジ・パリサーは祖父の代から犬猿の仲の奇術師一家の後継ぎ同志。二人は例のごとくそこで言い争いとなる。その最中ケアリが蛇の入ったケースを叩くのを見て、管理係のマイク・パースンズが注意をすると、ケアリはさらに激こうしてケースを叩く。するとそのケースが割れて、中にいた蛇が飛び出してしまう。蛇はそこに居合わせた太った紳士を追いかけ始めることに。その紳士とはいわずと知れたH・M卿。

 その場は治まったものの管理係のマイクは怒りさめやらず、ケアリにくってかかる。そこを当の爬虫類館延長の娘ルイズ・ベントンがその場を治め、二人の奇術師ケアリとマッジを夕食に招待する。

 そして夜、招待を受けたケアリとマッジ、H・Mらが邸に着いても誰も出てくる様子がない。不穏なものを感じながらも家の中へと入ってみると、料理のこげの匂いがする。台所へといってみると調理がなされたままの状態で放置されていた。他の場所の様子を見ようとするがいつのまにか彼らは部屋に閉じ込められてしまう。しかし、なんとかケアリの鍵開けのテクニックによって部屋を出る。折りしもそのとき、あたりにはまた爆撃機がうろつき始めていた。彼らが部屋から出ると、例のマイク・パースンズとジャック・リヴァーズという若い医学博士とに出会う。リヴァーズによると今日の晩餐はルイズの父親で爬虫類館延長であるエドワード・ベントンの都合により中止になったのだという。

 そこで彼らは当のエドワード・ベントンの部屋へと行ってみると、ドアには鍵がかけられ、ドアの隙間には目張りまでがなされていた。部屋になんとか押し入ると、部屋中にガスが充満していて、中ではエドワードの死体が横たわっていた。死体には倒れたときのものなのか、頭に打撲傷がみられた。

 死体の発見後すぐにルイズ・ベントンが邸に戻ってくる。彼女はジャックが事故にあったという偽の通報を受け、外におびき出されていたのだ。

 死んでいたエドワード・ベントンであるが状況からは自殺と判断される。しかしルイズは部屋の中で蛇が死んでいるのを見て他殺であると断定する。父が大事な蛇を道連れにするはずがないと。

 エドワードはいろいろな爬虫類を集めるのが趣味であった。彼は動物捕獲業者のノーブル大尉とその妻アグネス・ノーブルに爬虫類の収集を依頼していた。アグネス・ノーブルは動物は捕獲したといい、五千ポンドをもらい受けたが戦時中に付きイギリスに運ぶ手立てがないといっていた。しかし今日エドワードは動物を運ぶための船腹の許可が得られたのだという。そんなエドワードが自殺するというのはおかしいことであった。

 しかしながら殺人だとするならば目張りされた部屋からどうやって犯人が出たのかがわからない。

 翌日マッジが夜に何者かに殺されそうになったと打ち明ける。夜に何者かが侵入してきてガスの元栓をひねり、窓を閉めっぱなしにしていったのだという。

 また、H・Mたちを集めてリヴァーズ博士が蛇の毒を取り出す実験をしているときにもマッジは何者かの手によってコブラに襲われる羽目におちいる。その場はケアリの拳銃によって事なきを得たのであるが・・・・・・。襲撃者はマッジが何かをつかんでいると疑っているのだろうか?

 そしてついにH・Mが犯人を突き止め、密室の謎を解明する。



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