知りすぎた男

The Man Who Knew Too Much and Other Stories   1922

「標的の顔」 (The Face in the Target)
 新聞記者のハロルド・マーチは大蔵大臣との面会場所へと行く途中、奇妙な男ホーン・フィッシャーと出会う。彼らが出会った矢先、崖から飛び出してくる車と遭遇し、車に乗っていた者の死亡を確認する。ホーン・フィッシャーは警察を呼ぶ前に、自身で事件を解決しようと車が来た場所へと向かい、それにマーチはついて行くことに。何でも知っている、もしくは知りすぎるという男、ホーン・フィッシャーの腕前やいかに!?

「消えたプリンス」 (The Vanishing Prince)
 マイケル・オニール、通称プリンス・マイケル。彼は世の中をかき乱す男であり、常に当局から追われる立場であったが、知恵を使うことにより、いつも追っての手から消え去るように逃れていた。ある日、プリンスは警察に塔の中へと追い詰められることに。警官らが塔へと詰め寄ったとき、二人の警官が射殺された上にプリンスは塔から消え去っていた。警察責任者の秘書として来ていたボーン・フィッシャーはその状況を目の当たりにし、真相を口にする。

「少年の心」 (The Soul of the Schoolboy)
 トマス・トワイフォード師と甥のサマーズ・マイナーは、希少な銀貨を見学するために、かつての礼拝堂であった建物へとやってきた。そこで彼らは魔術師と名乗る怪しげな男と出会う。一行が銀貨を見学しているとき、サマーズ・マイナーが電線を引っ張ってしまい、礼拝堂のなかは暗闇と化した。なんと、その間に銀貨が盗まれてしまったのである。そこへやってきたホーン・フィッシャーにより消えた銀貨の所在が明らかになり・・・・・・

「底なしの井戸」 (The Bottomless Well)
 何のために存在するのかわからない底なしの井戸。それゆえに、天に届くまでに建てられた塔が神の怒りによって地中に埋められたためにできたという、おとぎ話までが語られていた。その井戸のそばで事件が起きた。井戸のほうを向いていた男のうしろで、ひとりの男が突然倒れ、死に至ったのである。死因は毒殺であった。いったい何が起きたというのか・・・・・・

「塀の穴」 (The Hole in the Wall)
 ロード・ブルマーが当主であるプライアーズ・パーク邸。明け方に叫び声が聞こえ、ホーン・フィッシャーは飛び起きた。どうやらブルマー卿の声であったようだが、当の本人の姿は見えない。ブルマー卿はどこへ消えたというのか? そしていったい何故?? ホーン・フィッシャーが語る“塀の穴の秘密”の意味は!?

「釣り人のこだわり」 (The Fad of the Fisherman)
 ウィローウッド邸は海運会社と新聞社を経営するアイザック・フック卿が所有している。その日は、首相をはじめとして著名人がウィローウッド邸に滞在していた。フック卿には、屋敷のそばの川沿いで釣りをする習慣があり、何人たりともその時間の邪魔はさせなかった。しかし、その釣りをしているときにフック卿は絞殺され殺害された。ボーン・フィッシャーが語る真実とは!?

「一家の馬鹿息子」 (The Fool of the Family)
 ホーン・フィッシャーには二人の兄がおり、それぞれが政府の要人として働いている。ホーン・フィッシャーは兄らと話をしているうちに、一念発起することとなり、イングランドの西部へ行き、現地で政治家に立候補する。しかし、対抗勢力の妨害に会い・・・・・・

「像の復讐」 (The Vengeance of the Statue)
 大戦が始まろうとした矢先、首相の周囲でスパイ行為が横行しているとホーン・フィッシャーは友人のハロルド・マーチにうちあける。そしてある日、ホーン・フィッシャーの叔父が彫像の下敷きとなって死んでいるのが発見され・・・・・・


<ノン・シリーズ>
「煙の庭」 (The Garden of Smoke)
 ロンドンの町はずれの館へとやってきたキャサリン・クロフォード。彼女は、その屋敷に住むモーブリー夫人の話し相手として雇われたのであった。しかし、そのモーブリー夫人が薔薇が見事に咲き乱れる庭で毒殺死体として発見され・・・・・・

「剣の五」 (The Five of Swords)
 英仏両国の出身である二人の紳士が、見ず知らずの者達による決闘の後始末に追われることに。そもそも決闘の始まりはトランプのいかさまを巡ってのことであり、決闘の顛末は一人の青年に死をもたらした。二人の紳士は、その決闘の真相を調べることとなるのだが・・・・・・



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