<内容>
カリフォルニア沖に浮かぶ島に建てられた国際低温工学研究所。所長のホッブズ博士は島に医者たちを集めて、長期間冷凍保存された人間に臓器移植を行い復活させるという手術を行った。すると、その手術後に島にいる者たちが次々と何者かに襲われ殺されてゆく。施術を受けた人間は昏睡状態のまま横たわっているのだが、果たして彼が起き上がって人々を殺害し続けているのかと・・・・・・
<感想>
珍しいエドワード・D・ホックの長編作品。その数少ない長編作品のなかで、コンピュータ検察局シリーズというものがあるらしく、そのなかで邦訳されていなかったシリーズ3作目がこの作品とのこと。これまた“奇想天外の本棚”で紹介されるだけあって、なかなか毛色の変わった作品。
内容は一言で言えば、粗めの“そして誰もいなくなった”。あらすじだけ追えば、何気に厳密なミステリ作品のような気がするが、実際に進行していく様子をみるとミステリとしてはかなり粗目。しかも雰囲気も微妙な感じ。普通のミステリと違って、多少SFホラー的な趣があるところは特色になっていると思われる。
まぁ、なんだかんだ言いつつも、それなりに読める作品ではあった。なんとなくジュブナイルミステリくらいに収めておけば、もっと見栄えした感じはあるかもしれない。全体的なネタとしては、十分に面白そうな雰囲気はまとっているのだが。