Reginald Charles Hill  作品別 内容・感想

社交好きの女   5.5点

1970年 出版
1982年03月 早川書房 ハヤカワミステリ1389

<内容>
 一線を退いたものの、今でもラグビークラブに所属しているサム・コナン。久々にラグビーの試合に出たものの、頭を強打し、体調が悪くなりふらつきながら家に帰る羽目となる。家で待つ妻との夫婦仲は既に引け切っており、二人の間に生まれた娘は大学に入学し家から出ていた。コナンは妻に声をかけてから、二階の寝室へ行き、ベッドに倒れ、そのまま意識を失ってしまう。その後、コナンが目を覚まして一階に降りると、そこで見たのは死体となって横たわる妻の姿であった。通報を受けたダルジール警視と部下のバスコー部長刑事は捜査に乗り出し、被害者周辺の人間関係を洗い出す。

<感想>
 レジナルド・ヒル氏による“ダルジール警視”シリーズに挑戦してみようと思い購入した作品。その記念すべき第一作。どうやらこのシリーズ、ダルジール警視とその部下のバスコー部長刑事によるコンビで描かれる作品のよう。

 巨体ゆえか、粗暴であるゆえか、若干パワハラめいた上司のようにも感じられるダルジール警視。ただ、その知性はしっかりしたもので、決して無能な警官というわけではなさそう。それに対し、上司の動向を気にする若手警官というような感じで行動をするのがバスコー部長刑事。このバスコーについては、単なる部下という感じではなく、それなりに存在感を出しているようなので、しっかりとレギュラーキャラクターとして、今後も活躍しそうな人物。

 この作品では、そんな二人のコンビが地元のラクビークラブというコミュニティーのなかで起きた事件を捜査している。そのコミュニティーのなかでの、人間関係を調べつつ、事実を検証し、徐々に犯人の存在に迫ってゆくというような展開。ただ、警察の捜査方法云々というよりも、最後の最後でなし崩し的に事態が自動的に打開されたというような感じであったようにも思えてしまう。しかも、ややアンフェアな描写や証言であったのではと思われる部分もしばしば。

 と、そんな感じで、ひとつの作品としては微妙な感じであったものの、ここからシリーズとしての色が徐々に出始めてゆくのかなと期待しながら読んでいきたい。今後、どんな感じでシリーズ作品として盛り上がってゆくのか楽しみである。




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