<内容>
フィリップ・ドライデンは敏腕記者であるが、わけあって地方紙に移籍し、そこで仕事をしている。かつて彼は妻を車に乗せてドライブをしていたときに事故にあい、妻は意識不明のまま入院し続けている。それからドライデンは車を運転できなくなり、現在はホルトというお抱え運転手の力をかりて、記者活動をしていた。
そんな彼が働く平和な町で、川から車が引き上げられ、中から死体が発見された。どうやら殺人事件のようであるが身元は不明。いったいどのような理由で殺害されたのか。さらに次の日、大聖堂の屋根の上から白骨死体が発見される。ドライデンは単独で事件の謎を解こうとするのであるが・・・・・・
<感想>
一番の感想は、読みにくかったということ。良く言えば表現が丁寧、悪く言えばまわりくどい。その表現のまわりくどさが話の流れをさまたげており、内容が頭に入ってこないという何とも微妙な作品。
最後まで読み終えてみれば、最近よく紹介されている新進作家のミステリ小説と変わりなく、そこそこの出来と言える。ただ、最近の小説では警察ものの作品が多い中で、本書は新聞記者が主人公というところがポイントとなっている。この記者自身もとある問題を抱えており、この作品内で起こる事件と合わせて、平行して話が進められていく。
一応、ミステリとしては良くできているとも思えるのだが、やはりリーダビリティがきついというのは大きな欠点であろう。しかも古典作品ではなく、近代小説であればなおさら。どうやらこの作品はシリーズものらしく、すでに5冊が刊行されているらしいので、それらも翻訳されるかもしれない。ただ、それが出ても読むかどうかは微妙なところ。