<内容>
前漢時代(紀元前100年)の中国。春の祭儀を準備していた観一族の当主の妹が殺害されるという事件が起こる。その事件はやがて連続殺人事件へと発展してゆく。事件を起こした犯人の驚くべき動機とは?
<感想>
ハヤカワミステリ創刊65周年記念作品・・・・・・ということなのであるが、記念とするほどの作品なのであろうか? そもそもアジアンミステリって、あまり良いものがなく、個人的には決して好意的に捉えてはいない。そうしたなかで、昨年「13・67」という作品が登場し、アジアンミステリの地位が一歩進んだというように思えた。しかし、この作品により、結局またアジアンミステリは元の位置へと後退してしまったのではないかと感じてしまう。
そもそも海外のどのような風習であるのかもわからないくらい昔の時代を背景としたものを読んで、どのような感銘を抱けというのか。特に本書はミステリであるのだから、その時代の風俗的なことやルールもよくわからない状態で事件が起きても、何も想像しようがない。
そんなわけで事件解決に至っても「うーーーん」という感想くらいしか・・・・・・一応は、人間の根源的というか、感情的なところへと帰結しているゆえに、全く意味がわからないということはないのだが、そこまでの過程が楽しめないのだから何とも言えない。
今後、アジアンミステリに関しては、「13・67」のように評判のよいものだけ読むようにした方がよさそうである。