我孫子武丸  作品別 内容・感想2

我孫子武丸犯人当て全集   6点

2025年08月 星海社 星海社FICTIONS

<内容>
 「盗まれたフィギュア」
 「完全無欠のアリバイ」
 「記憶のアリバイ」
 「漂流者」
 「幼すぎる目撃者」

<感想>
 我孫子武丸氏による「犯人当て全集」。これは面白そうだと迷わず購入して読んでみた。全部で5つの謎が掲載されている。読んでみて思ったのは、考えていたような“犯人当て”ではなかったなということ。もっと普通に殺人事件が起きて、誰が、どのようにして犯行を成したのか? というようなものが基本なのかと思っていた。それが本書に収められているのは、その設定自体が変わったものばかり。このような犯人当てもあるのかと感嘆させられた。

 最初の「盗まれたフィギュア」は、犯人どころか、犯行方法すら全く見当がつかなかった。こんな状況で、フィギュアを盗むことなど、できるのかと。解答を読んでびっくり、なるほどこんな方法があったのかと。ただ、解答を読み終えて、今更ながら、この作品は読んだことがあったようなと・・・・・・二度目にしてもわからなかったということか。

「完全無欠のアリバイ」は、なるほどこういうパターンかと納得。「記憶のアリバイ」は、ちょっと設定自体がわかりづらすぎるかなと。「幼すぎる目撃者」は、もうミステリというよりも、ホラーっぽいような怖さが勝ってしまっている。

 何気に一番、犯人当てらしい作品と思えたのは「漂流者」これまた、読み終えても全く犯人の検討がつかなかったのだが、解答を読んでみて納得。これまた、こんな感じで隠されていたものを示唆していたのかと、感心するほかはなかった。結構派手目の作品でもあるので、本書のなかではこれが一番の好みである。


「盗まれたフィギュア」 特殊な南京錠で閉ざされた部屋から、犯人は如何にしてフィギュアを盗んだのか?
「完全無欠のアリバイ」 会社社長を殺害したのは、彼の息子たちのうちの誰なのか??
「記憶のアリバイ」 記憶のデータによって、犯行が特定される社会。その中で成された殺人事件のアリバイトリックとは?
「漂流者」 記憶を無くした男と、その男が持っていた殺人事件を示唆する手記。いったい何が起きたというのか?
「幼すぎる目撃者」 女が自分の幼い息子の前で、夫を刺殺した事件の真相とは!?




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