凶笑面


「鬼封絵」 (小説新潮 1988年05月号)
 ”鬼封絵”を行っている青月家の娘・青月美恵子は都築常和からストーカー行為を受けていたという。美恵子は引越しのたびに相手も近くに越してくる都築に怖れを抱き、そしてついには争いの中で都築を刺し殺してしまったと・・・・・・
 しかし本当は都築常和は秘祭りである”鬼封絵”をビデオに収めようとその村の頭首の娘、青月美恵子に近づいたのが元で・・・・・・
 ”鬼封絵”にまつわる青木家の先祖による罪、そしてまさに先祖が行ったことが子孫によって繰り返される。


「凶笑面」 (小説新潮 1998年09月号)
 骨董屋・阿久津から那智の元に面の写真(凶笑面)が送られ、民俗調査を依頼される。地方の谷山家の倉の”倉開き”が行われるという。本来、骨董屋にとって倉開きに研究者を招くのは、一利にもならない。胡散臭いものを感じながらも那智らは現地に向かう。そしてそこには他の大学の民俗学を専攻する甲山も来ていた。そして新たに喜人面の存在を示唆される。ただしこちらは写真のみで実物はない。調査が行われていたある日、阿久津が倉の中でビー玉が散乱する中、殺されていた。現場から犯行は足の悪い、谷山玲子による犯行と思われる状況証拠が・・・・・・。そんな中、甲山が二つの面について一つの仮説を打ち立てる。二つの面にまつわる謎、そして阿久津は何を考えていたのか、そして甲山は・・・・・・


「不帰屋」 (小説新潮 1999年03月号)
 那智は護屋菊恵というフェミニズム提唱者であり社会学者でもある女性から護屋家にある建物の民俗調査を依頼された。菊恵はその部屋を”不浄の間”(女性が生理の期間中、家族と隔離されて暮らす部屋)ではないかと考えていた。その母屋の調査中、菊恵はその母屋の中で死体となって発見される。しかし、その母屋までの足跡は発見者のものしか見当たらなかった!
 護屋家にまつわる秘密とは? そしてその母屋は何のために使われた部屋であったのか? 調査により菊恵の死の謎が明らかに!!


「双死神」 (小説新潮 1999年10月号)
 那智の助手の内藤は単独で”だいだらぼっち”の調査を進める。弓削という人物から彼が発見した未発掘の遺跡についての調査を依頼されたため、内藤は現地へと向かう。そしてそこで《狐》と名乗る謎の女性と出会い、”税所コレクション”という言葉を耳にする。弓削と共に昔の製鉄所ではないかと思われる遺跡の調査を進めていく中で、ある日、遺跡の崩落事故で弓削がなくなってしまう。
 そして事故の翌日現地に那智がやってくる。そして内藤は税所篤による単独の古墳の発掘による”税所コレクション”の実態についてしらされる。そしてまた、那智は鉄をめぐる日本の歴史にある仮設を唱える。さらに例の遺跡には”税所コレクション”によるとある秘密が隠されていた!! 弓削の死の意味とは? そして《狐》を名乗る女性の正体とは??


「邪宗仏」 (小説新潮 2000年04月号)
 聖徳太子はイエス・キリストだったんだ、という那智の発言。
 御崎昭吾という人物から”秘仏”についてのレポートと観音象の写真が贈られてきた。それを見て那智はすぐさま現地調査に。那智らが現地に到着すると、そこでは御崎はすでに殺されたと・・・・・・。しかも写真の中の観音象のように両腕を切断されて!キリスト教の伝来にまつわる村で起きた殺人事件。死体の両腕が切られたことにはどんな意味が? そして両腕のない観音象にはどのような秘密が隠されているのか? 那智がキリスト教伝来について一つの仮説を打ち立てる。





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