御手洗潔の挨拶


「数字錠」  (1985年11月号 EQ)
 御手洗と石岡が今の部屋を出て、横浜の馬車道の広い部屋に移り住もうと計画していたとき、竹越刑事が事件の依頼にやって来た
 吹田電飾の社長、吹田久朗が殺されたという。容疑者は二人いて、株のことで恨みを持っている、石原と中野。発見者は社員4人。毎朝トラックで4人で出勤してくる彼らがシャッターを開けると、そこに殺されている社長を発見することに。社員はただ一人の妻帯者でマンションに住んでいるという北川幸男。トラック通勤組みはシャッターのキーを預かっている秋田辰男、大久保修、土屋純太郎、宮田誠(最年少17歳)
 しかし、現場へ入る入り口はシャッターと数字錠で閉められた裏口だけ。部外者の石原と中野は現場に入ることができない。そのために警察は逮捕に踏み切ることができないのであった。
 御手洗は、社員の様子を探りたいということで通勤組みが住む、吹田の兄が大家をしている寮へ行ってみる。そこで話しを聞き彼らは最年少の宮田誠にも会い色々と話しを聞く。
 その後、御手洗は大家の吹田の娘の美人の靖子に会うためか?しょっちゅう吹田邸に出かけていく始末。
 そしてある日、御手洗の提案により銀座での豪勢な晩餐へと・・・・・・。事件は哀しい結末を迎える。彼らはこの日以来、コーヒーは飲まない。


「疾走する死者」  (1985年5月号 EQ)
 語り手はタックこと隈能美堂巧。趣味のサックスによってアカと名乗る者と出会い、タックはジャズ好きが集まる会にさそわれる。そこへタックは友人のドラムのパフと2人で出かけていくことに。暴風雨が吹き荒れる中、T字形のマンションの11階に行くと他にも多くの人が集まっていた。メンバーは「糸ノコとジグザグ」のマスター糸井夫妻、ジグザグの手伝いのアサミちゃん、イラストレータの石岡、占星術師の御手洗、ジャズ評論家の大貫、ジャズ愛好家の久保、セールスマンの菜村とアカに紹介してもらう。
 皆がそれぞれ雑談している中、菜村が皆の輪のついた貴重品を集め、手品を披露する。また、楽器のできるメンバー同士でセッションを行ったりした。御手洗はそこでものすごいギターの腕を披露し、皆を驚嘆させる。
 そして演奏を行っている最中に突然停電となり、糸井夫人のネックレスが紛失する。停電最中、久保が出て行ったのを目撃したものがいたのでみんなで外へと追いかけるが久保の姿は影も形もなかった。また、菜村が11階の柵から久保が乗り越えたのを見たというが、下には菜村の車が止まっているだけで、他には何もなかった。
 部屋に引き上げてからしばらくすると、突然、警察から久保が電車に飛び込んだという報せを受ける。しかし電車に飛び込んだ時刻と久保が外に出た時間を考えると、とうてい線路までたどり着くはずがなかった。
 翌日、警察がきて状況を説明する。久保はすでに首を絞められて殺されており、その後に電車に飛び込んだのだという。しかも久保が盗んだネックレスは手品のときに出したものではなく、タンスにしまってあったはずのもっと高価なネックレスであったという。
 久保は死んでから線路まで疾走したのであろうか? そのとき御手洗が見たいTVがあるからと事件について語りだす。


「紫電改研究保存会」  (別冊文藝春秋 第171号)
 爪にある理由で数字を書いている男とその上司がバーに飲みに来ており、部下のほうが7年前に起きた不思議な出来事について語り始める。
 ある日突然、見知らぬ人から話し掛けられ、その人物は「紫電会研究保存会会長」と名乗る。そのまま、なかば強引に話を聞く羽目になり、そしてパンフレットの宛名書きをバイトとして手伝わされることに・・・・・・。その日は宛名書きの後にすぐに帰されたのだが、その後研究会からは何の音沙汰もなく、その事務所まで行ってみると、もぬけの殻であった。
 すると横で話を聞いていた御手洗がその出来事についての驚くべき真実を推理する。


「ギリシャの犬」  (1987年9月号 EQ)
 御手洗の元にモナコで知り合いになった、青葉照孝の妹・青葉淑子が依頼にきた。淑子が言うには、近所にあったたこ焼き屋が突然なくなったというのだ。現場にはわけのわからない暗号のようなものだけが残されて。しかもその際に、なぜか淑子の盲導犬のクロが毒殺されたというのだ。犬が殺されたと聞いて、御手洗は重い腰を持ち上げることに。
 御手洗たちが聞き込みを始めると、竹越警部に出会い、青葉家の息子が誘拐されたことを告げられる。犯人は、「身代金1億円を用意して、午前0時に船に乗り込め」と指示してきたという。後の指示はハンディ・トーキーによって伝えるという。
 御手洗は子供も助け、身代金も取り戻すと宣言してどこかへ行ってしまう。その後、御手洗は石岡に水上レストランでお茶を飲めとか、バールやノミを用意しろなどという、わけの分からない指示を出してくる。
 そして、ギリシャから戻ってきた照孝氏、淑子、石岡、刑事たちは船に乗り、犯人の指示によって船を移動させて行くのであったが・・・・・・
 御手洗曰く、「優秀な一匹の犬は、百人の警察官に勝る」



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