防 壁


「防 壁」 (1994年7月号 別冊小説現代)
 警視庁警護課員として佐崎が警護する政府要人が襲撃された。凶弾に倒れたのは同僚のSP、義兄でもある大橋だった。狙撃犯は誰か? 佐崎の脳裏浮かんだのはかつての上司であった男、神谷であった。かつて神谷と佐崎の姉、つまり大橋の妻は不倫の関係にあったのだ。昔の女と会うために、あえて大橋を危険なところに配置したのだろうか!? そして、大橋の変わりにVIPの配置に着く佐崎の前に、VIPを襲う者が姿を・・・・・・


「相 棒」 (1995年3月号 小説現代)
 長瀬はダイバーであり、特殊救難隊という仕事をしている。長瀬は現在の仕事をこなしつつも、前の彼女との間に起きたとある事件のことで悩んでいた。だが長瀬には現在、新しい結婚を考える女性がいて、彼女の勧めもありダイバーのインストラクターという危険の少ない仕事に転職を考えつつあった。そんなとき、一つの海難事故がありその救助を体験することによって進むべき道を・・・・・・


「昔 日」 (1996年10月号 小説現代)
 彼の元に前妻から手紙が来た。香坂は陸上自衛隊、不発弾処理隊に勤務している。その職業によって前の妻とはうまくいかず離婚することになったが、現在再婚しうまくやっている。その不発弾処理隊の前に住宅の改築工事の際に新たな不発弾が現れる。しかし香坂はその不発弾が埋まっている地層の状態を見て、妙だと気づく。その不発弾にこめられたある一人の男の思いに香坂は胸をうたれ、前妻に手紙を書く。


「余 炎」 (1997年9月号 小説現代)
 消防署で消化勤務にあたる直井。最近彼らが勤務する管区内で放火と思われる不審火が連続して発生していた。直井は子持ちの女性との再婚を考えていたのだが、意思の疎通がうまくいかず関係がとどこおっていた。そうしたなか、さらに続く不審火。直井は勤務表をみて、放火が起きている日にある法則があることに気づいた。危険に向かっていく男たちと彼らを待つものたちとの間に生まれるすれ違いを描く。



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