<内容>
地方都市のさびれた商店街の片隅に家を借り、そこで絵を描き続ける画家の道井明人。彼の家に、突如二人の姉弟が訪ねてくる。姉は高校生で弟は小学生。二人は送られてきた葉書を手掛かりに、父親の行方を捜しているという。この街になんらかのヒントがあるらしいというのである。いつの間にか、姉弟を居候させることとなる明人。その姉弟は、待ちの商店街のなかで父親が残していったと思われる葉書を次々と見つけるのであったが・・・・・・
<感想>
何かを隠しているかのような女子高生の姉と、ストレートなものの言い方をする小学生の弟の二人が、葉書という手がかりをもとに父親を捜すという話。ミステリ性はほとんどなく、本当にただそれだけの話。
一応、ミステリ・フロンティアというレーベルから出ているわけで、それなりのミステリを期待していたのだが、本書は普通の小説という感じ。作品自体は、読みにくいというような事は決してないので、内容は悪くはないと思いつつも、どこに発信している小説なのかがわからない。一見、対象年齢が低そうな内容に感じられるものの、主となる登場人物が女子高生、小学生、孤独な絵描きと年齢がばらばらなので、どの年代の人が読めばちょうどよいのかもわかりづらい。
個人的には微妙な小説を読んでしまったというくらいの印象。ミステリ・フロンティア以外のところから出せば、別に問題もないと思われるのだが。