<内容>
カルチャースクールの小説教室で講師をしている覗木毒助は生徒達にとあるゲームを仕掛ける。そのゲームの名は“アノニマス(作者不詳)”。覗木は生徒達をけしかけ、小説を用いたサバイバルゲームを行い、生徒達をふるいにかけようとするのだが・・・・・・
<感想>
野崎氏の本はずいぶん前に何冊か読んだのだが、その時に読んだ印象では、もう別に読まなくてもいいかなと思い、その後手にとることはなかった。しかし、今回ミステリー・リーグの1冊に配されたということで読んでみたのだが・・・・・・昔と変わらず、やはり読まなくてもよかったかなと・・・・・・
では本書の何が問題かといえば、内容がまったくといっていいほどミステリーしていないことである。なおかつ、ホラーとも銘打っているようなのだが、さほどホラーであるとも感じられなかった。
内容は作家育成教室の生徒達が講師の審判のもと対決し、負けたものをふるいに落としていくという内容のはずであったのだが、そのような場面は少ししか見られない。物語の進行のほとんどが、色仕掛けをする女生徒に対して主人公であるカルチャースクールの講師が悩むというもの。あとはその講師がカルチャースクール講師としての悩みや作家としての悩みが断片的に語られるというそれだけなのである。
結局のところ、最後まで誰を対象に何を書かんとしているのかがよくわからなかった。それに最後のオチもそれはないだろうというものであった。
「ヘイ、ポール・・・・・・ヘイヘイ、ポール」って、なんじゃそりゃ!
<内容>
流行っていない探偵事務所を営む鶴舞尚のもとに、ジャーナリストを名乗る桜通来良というオッドアイの女性が訪れる。彼女は、巷で噂になりつつあるラジオマーダーの正体を暴きたいので協力してもらいたいというのである。高額な報酬に目がくらみ、鶴舞は依頼を受け、来良と共にラジオマーダーについて調べ始める。ラジオマーダーは4回放送していて、4人を殺したと言っているのだが、まだ警察も動いておらず、被害者が発見されていない。そこで鶴舞は今までの情報から推理を重ね、見事一人の被害者の死体を発見し、本格的にラジオマーダーとの対決に名乗りをあげることとなるのであったが・・・・・・
<感想>
読み終えてみると、結構面白かったと満足させられた。選出された後に改稿したとのことなので、それで読みやすくなったのかもしれない。非常に読みやすい作品であった。
劇場型ミステリとでもいうべき作品なのか。ラジオで殺人を実況する犯人に対して、その犯人の正体を突き止めるべく、探偵も配信によって対抗していくというもの。犯人は七人の殺害を予告しており、それら全ての犯行を成す前に犯人を捕らえられるかという内容。警察もこれら犯罪をとめるべく行動してゆくのだが、誰かもわからない探偵に先回りされてしまうばかり。そういった、探偵側の行動と、右往左往する警察の行動が相互に繰り広げられ展開されていく。
正直なところ、読んでいる最中は、ややチープな感じだなと思ってしまった。ただ、最後に全ての真相が明らかになる部分で、全て取り返したという感じ。読み終えてみると、途中で感じた全ての違和感や疑問が全て明かされるように創りこまれている。なかなかうまくできている作品と感心。