名探偵の条件    その2
名探偵と事件




 前段にて、名探偵の条件の一つとして
一、名探偵と名乗るからには知名度が必要である

という項目をあげた。
 しかし、知名度だけにこだわってしまうと、明智小五郎、金田一耕介だけになってしまい、探偵”で終わってしまうのでもう少し異なる観点も含めて“名探偵”にこだわっていきたいと思う。







***








 ではさらなる“名探偵”の条件はというと、先に結論から!




一、名探偵は数々の難事件を解決していなければならない




 やはりこれだろう、この条件こそ“名探偵”にふさわしい。ひとつやふたつ事件を解決したからといって探偵たるもの大きく出てはいけない。探偵を名乗るものであるならば、事件を捜査し解決するのが生業である。たとえ探偵が職業でなくても、探偵と名乗るからには事件を解決するのは“業”である。であるからこそ、数々の事件を解決してこそ“名探偵”の名が与えられるのである。



 ただし、ここで注意してもらいたいのはただ単に事件を解決するのではなくて“難事件”でなければならない。



 いかに事件を多く解決したといってもその事件が浮気調査とか盗聴防止、盗難事件などといった平凡な事件ばかりでは困る。私は数々の事件を解決しましたといっても、「三匹の魚、盗難事件」とか「隣の夫婦、昨日の惨劇」とか「上司の湯呑の雑巾絞り汁事件」とか「101匹わんちゃん失踪事件」などといった事件ではいけないのである!!





 やはりなんといっても“名探偵”であるならば、二つか三つは大事件を解決しておきたいものだ。




 例えば、

 “孤島で起きた大量殺人事件”
 “閉ざされた雪の山荘における連続殺人事件”
 “片田舎での旧家における見立て殺人事件”
 “古びた古城における全員死亡事件”
 “ミステリマニアの学生ばかりが住むアパートでの密室殺人”
 “閉ざされた旧校舎で起きたバラバラ死体事件”



このような事件を解決してこそ“名探偵”ではないのでしょうか(泣)





 やはりこういう難事件を解決してこそ“名探偵”と名乗ってもらいたい。そしてこういう難事件というものこそが“名探偵”に解かれるのをまっているのである。“名探偵”のための事件というものを解いてこそ皆からその称号が与えられるのである。


 先に述べた“名探偵”明智小五郎金田一耕介の二人はこの条件をも十分にクリアしているといえよう。この2人に関しては知名度=事件の数に相当するといっても過言ではない。どれだけ多くの事件を解決してきたかということは誰もがごぞんじのとおりである。決して「解決したのではなくて、関わっていただけなのでは?」などとはいってはいけない。


 と述べてきてみたものの、ではそれだけの数々の大事件を扱ってきた他の名探偵たちというと誰をあげることができるだろうか。






神津恭介(高木彬光)     矢吹駆(笠井潔)

御手洗潔(島田荘司)     二階堂蘭子(二階堂黎人)




 大雑把(あまりにも)に選ぶとこういったところが有名どころだろうか。これについても他薦はあるだろうが、数々の大事件ということで考えるとそう多くはいないであろう。
 また、他にも数々の事件を解いた探偵たちがいるではないか! という反論の前にここでもう“ふたつ”提言。
















一、ここで採り上げる名探偵とは基本的に本格ミステリの分野に属するものとする
(いまさらながらですけれどもご理解いただけますよね)



一、名探偵は警察官であってはならない
(やはり“探偵”なわけですから)










 ミステリーのなかには“名刑事”、“名警部”、“名捜査官”というような警察官たちも存在する。しかし、ここでの“名探偵”とはニュアンスが異なるように思える。それはやはり、組織というものにおける背景というものや、それにより捜査法というのも異なってくる。いわゆる探偵の推理に対して、警察官のほうは捜査という概念がどうしても強く感じられてしまう。もちろん警察官の中にも探偵の行動に近い者もいるとは思うのだが、今回はややこしくなるので区別をさせてもらうことにする。
 もしも機会があれば、警察官のほうでも何かこういう企画を・・・・(ちょっと難しそうだ)



 ということで、ここでまたいくつかの条件を提示することができたがのだが、今回の最後に“警察官”というものが出たことから、次は“探偵たちの職業”というものについて見ていきたいと思う。


続きはその3






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