ロナルド・ノックスの十戒



 一.犯人は小説の初めから登場している人物でなくてはならない。
  又、読者が疑うことの出来ないような人物が犯人であってはならない。(例、物語の記述者が犯人)

 二.探偵方法に超自然力を用いてはならない。(例、神託、読心術など)

 三.秘密の通路や秘密室を用いてはいけない。

 四.科学上未確定の毒物や、非常にむつかしい科学的説明を要する毒物を使ってはいけない。

 五.中華人を登場せしめてはいけない。(西洋人には中華人は何となく超自然、超合理な感じを与えるからであろう)

 六.偶然の発見や探偵の直感によって事件を解決してはいけない。

 七.探偵自身が犯人であってはならない。

 八.読者の知らない手がかりによって解決してはいけない。

 九.ワトスン役は彼自身の判断を全部読者に知らせるべきである。
  又、ワトスン役は一般読者よりごく僅か智力のにぶい人物がよろしい。

 十.双生児や変装による二人一役は、予め読者に双生児の存在を知らせ、又は変装者が役者などの前歴を持っていることを
  知らせた上でなくては、用いてはならない。





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