2010年ベストミステリ




2010年国内ミステリBEST10へ     2010年海外ミステリBEST10へ



このランキングは(おおむね)2010年1月〜12月までの間に出版された本を対象としています。





総  評

 今年の本格ミステリは麻耶雄嵩一色に染め上げられてしまったような気がしてならない。とにかく「隻眼の少女」が強かった、すごかった!! この一冊のみならず「貴族探偵」も刊行し、1年に2冊も麻耶氏の本を読むことができたという貴重な年。
 ベテラン作家陣は有栖川氏、芦辺氏、二階堂氏、山口氏さらには我孫子氏までも本を出版していたのだが、これらはさほど目立たなかった。そうしたなか、島田荘司氏が本格ミステリとしては微妙ながらも、歴史ミステリとしては非常に意義のある「写楽 閉じた国の幻」を出版し、存在感を出していた。

 また、中堅ともいえる若手作家陣も軒並み作品を出していたが、どれもそれなりに良いできではあるものの突出したものが見受けられなかったのは残念。
 柄刀氏、三津田氏、石持氏、乾氏、道尾氏、大倉氏、東川氏、米澤氏といったところは、ここ数年活躍し続けている作家である。このなかで道尾氏がややミステリから離れつつあるような気がしてならなく、2011年はどのような作品を出してくるかが気になるところである。

 新しい作家とは言い切れないかもしれないが門前典之氏、小島正樹氏といったところが、新たな本格の書き手として活躍してくれた。そして今年の新人作家と言えば、なんといっても「叫びと祈り」でブレイクした梓崎優氏。2011年に次の作品が出てくれることを期待。

 ミステリの企画に関してはここ数年先細りの状態。まともに稼働しているのはミステリー・リーグくらい。また、ここ数年ラインナップが微妙と思われたミステリ・フロンティアは「叫びと祈り」や米澤氏の新作、さらにはアンソロジー集と良書を立て続けに出版してくれた。
 理論社のミステリーYA! はなんとか復活してくれたと思いきや、理論社自体が大変なことになっているようで、今後どうなるのかが心配なところ。メフィスト賞は続いてい入るが、今年出たのは2作品だけと、ややさみしげな感じ。


 海外作品は流行作家がそれぞれ作品を出してくれているので、出版点数としてはにぎわっていたように思われる。
 ジェフリー・ディーヴァー、マイクル・コナリー、トマス・H・クック、ドン・ウィンズロウ、ヘニング・マンケル、ポール・アルテさらには最近の注目株ジョン・ハート。
 ただ、これといった作品はなく、どれもどっこいどっこいという感じで、今年これが一番という代表的な作品がなかったのが残念なところ。

 新たに訳された作家としては「陸軍士官学校の死」を書いたルイス・ベイヤードあたりが今年の注目株と言えるだろうか。年末のランキングを見ると、他にも挙げられそうな作家がいるのだが、残念ながら私自身はそこまで抑えることができなかった。

 過去の本格推理小説の掘り起こしについては、出版点数は少ないような気がするが、それなりには作品が出ていたように思える。とりあえず、まだヴィンテージ・ミステリと論創海外ミステリは続いていてくれるので、本格推理小説の系譜が途切れるということはないだろう。

 それにしてもここ最近、東京創元社はそれなりに新たな作家の作品や、過去の作品の掘り起こしなどをそれなりに行ってくれているのだが、早川書房の方は海外ミステリに対して力の入れ具合が弱まっているように感じられてしまう。ハヤカワミステリはがんばってくれているようだが、ハヤカワ文庫のラインナップが貧弱に思えてならない。

 あとは、扶桑社や新潮社が知られざる作家の作品を掘り起こしてくれれば、もはや言うことはないのだが。





Mystery Note に戻る    Top に戻る