2011年ベストミステリ




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このランキングは2011年1月〜12月までの間に出版された本を対象としています。





総  評

 昨年、麻耶雄嵩氏の活躍が著しかったと思いきや、今年も問題作「メルカトルかく語りき」が出版され、本格ミステリ界ではまさに独り勝ちという感じであった。個人的には変化球過ぎて正当に評価できないと感じたものの、記憶に残る作品となったことは間違いない。

 その他の作品では、前半は短編集に良作が多かったように思える。加賀美雅之氏、三津田信三氏、貴志祐介氏、東川篤哉氏、4氏の短編作品が特に良かった。また、東川氏の大ブレイクにも注目したいところ。今までは長編作品が主だったのだが、今年はなんと3作品の短編集が店頭に並べられた(今まで書きためられたものが短編集となったという形である)。書店で東川氏のコーナーを見た人も多いのではないだろうか。
 東野氏から続くドラマブームに乗ることができれば、案外他の作家も同様にブレイクすることができるのではないだろうか。是非とも東野氏、東川氏に続いてもらいたい。

 そういえば、ふと思い返して見ても、今年はさほど強烈な新人が出てこなかったような気がする。とはいえ、新進の作家である小島正樹氏、安萬純一氏、中山七里氏などが新作を書いており、決して本格ミステリの勢いは途絶えていないと思われる。
 また、新人というわけではないのだが、城平京氏が本当に久々に2作目を書き上げてくれた。今後の活躍を期待したい。


 海外作品については、本格ミステリ関連についてはやや寂しかったかなと。近年続いていた、古典本格ミステリ新訳の波もひと段落という感じ。続いているのは論創海外ミステリくらいか。それでも今年は2冊のみの出版に終わった。

 東京創元社は、さほど変わらず新しい作品、古典ミステリ、復刊作品と幅広く出版してくれている。

 早川書房は、古典ミステリの出版点数がずいぶんと減っているように感じられた。特にハヤカワ文庫からのミステリ作品がずいぶん少なくなったようだ。とりあえず、復刊作品だけでもよいから色々と出版してもらいたいところ。
 ただ、早川に関しては、ハヤカワポケットミステリの力の入れようについては目を見張るものがある。今年さまざまな話題作が挙がっており、近代ミステリの発掘に力を入れているようである。ただ、読む側としては、どれもページ数が分厚過ぎて、なかなか手を出しづらいというのが現状。特に海外の近代ミステリは、当たり外れが大きいので、全てに手を出すというのはちょっと怖い。
 この傾向は来年も続くようであり、さらにSF関連の書籍も増えるようなので、これからもハヤカワポケットミステリから目が離せない。これは毎月読まねばならないか。

 古典本格ミステリは少なくなったものの、近代の流行作家に関しては変わらず新作を挙げてくれている。ジェフリー・ディーヴァー、トマス・H・クック、ドン・ウィンズロウ、ヘニング・マンケル、さらにはようやくお馴染みなったと言えるジャック・カーリイ。

 マイケル・コナリーに関しては、昨年は年末の出版で、次は2012年初頭と何となく微妙に時期がずれてしまっているような・・・・・・
 それと、ポール・アルテはどこいった? と、これだけは言っておきたかった。


 2011年はさまざまなことがあり、ミステリどころか、読書をしている場合ではないという人も多かったかもしれないが、来年度は心機一転、出版会がどんどんと盛り上がっていってもらえたらと期待している。国内のミステリ界も海外の新進作家におされないように、もっともっと奮起してもらいたい。





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