2013年ベストミステリ




2013年国内ミステリBEST10へ     2013年海外ミステリBEST10へ



このランキングは2013年1月〜12月までの間に出版された本を対象としています。





総  評

 今年の国内ミステリは、やや物足りなかったかなと。振り返ってみると、本格ミステリ界の大御所や中堅層の作品がやや少なかったように思え、それが物足りなさにつながったのかもしれない。基本的に、もうミステリというジャンルは十分に確立されていて、毎年それなりの作品点数が出るのは確実。今年もそれなりに良い作品は多々出ていた。ただ、他のランキングなどを参考にしてもわかるように“これ”というほどのものがなかったのも事実。法月綸太郎氏の「ノックス・マシン」が1位になっているのを見ると、ミステリとして強烈な作品はなかったのだなと改めて感じてしまう。

 新人としては去年の鮎川賞受賞者の青崎氏が検討した(個人的な思い入れが強いか?)というところ。また、梓崎氏の2作品目や、久々に椙本氏の作品が読めたりとそれなりの目玉もあった。あと、新人といえば深木氏の活躍も注目したいところ(すでにベテラン作家のような貫禄が)。

 他には、もはやいちいち名前を出す必要のない人たちが毎年のようにコンスタントに本を出してくれている。おかげで、ミステリ小説を読むということについては、困らずに過ごせるのでありがたい。愛川晶氏が久々の“らしい”ミステリ作品で復活してくれたのもうれしいところ。

 それと、本を出さずに存在感を出しているように感じられるのは、三津田氏と柄刀氏。両氏の作品を読まずに年を越すというのはもの悲しい。特に柄刀氏の新しい作品については、2014年こそはと期待したい。

 ミステリ企画に関しては、今年はミステリー・リーグの作品が少なすぎたなと(深木氏の1冊だけ?)。反対にミステリ・フロンティアはここ最近、息を吹き返したかのように盛況。その他にはこれとったミステリ企画がないので、両者にはこれからも頑張ってもらいたい。メフィスト賞の作品も何作か出たのだが・・・・・・ミステリっぽいのは、周木律氏の作品くらいかな。


 海外ミステリはある意味盛況。特に警察小説ブームには、見るべきところがある。ただ、個人的には海外の警察小説には食傷気味で、2014年からは、容易には手を出さない方向で行こうと思っている。

 今年もハヤカワミステリを初めとして、近代ミステリが警察小説に続いて盛況。色々と新たな作品が出ているものの、やや出過ぎていて、どこから手を出したらよいのかわからないくらい。ゆえに、ランキング本などが役に立つこととなるのだが。

 では、古典本格ミステリはといえば、それなりに検討しているように思える。いまや、東京創元社と論創社くらいからしか出ていないのだが、その2社が頑張ってくれている。特に論創社は今年ひと月に一冊ずつの新刊を出し、2014年はさらにひと月に2冊ずつ出すという。これは期待・・・・・・というよりも、論創海外ミステリが開始した時の粗製濫造となってしまうような気がしてならないのだが。

 それと、近代ミステリとSFに力を入れている早川書房だが、もう少し、昔の作品の復刊でもしてくれるとありがたいのだが。





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