2018年ベストミステリ




2018年国内ミステリBEST10へ     2018年海外ミステリBEST10へ



このランキングは2018年1月〜12月までの間に出版された本を対象としています。





総  評

 今年の国内ミステリについては、決して不作ということはなく、良い作品が多かったような気がする。それでも、これがトップ! というような世間を揺るがすようなインパクトのあるような作品はなかった模様。そんなわけで、各種ランキングもばらけるかと思ったら・・・・・・原ォ氏の「それまでの明日」が・・・・・・これって、そんなに良い作品だったかな? 過去の名作と比べればずいぶんと見劣りするような気がしてならなかったので、ランキングで取り上げられること事態ビックリしたのだが・・・・・・。

 それはさておき、なんだかんだいいつつ、最近の若手・中堅が頑張って作品を書き上げてくれているなというのが今年の感想。なんとなく、ミステリ界も世代交代したのかなと。私が国内ランキングにあげた作家で2000年以前から本を書いている作家は、麻耶氏、倉知氏、霞氏の3人のみ。その他は、新進の作家が多いという感じ(ただし年齢的には高い人も含まれているが)。今年、新本格世代の作家が作品を刊行していないということはないので、そう考えると時代も転換期を迎えつつあるのかなと。とはいえ、まだまだ頑張ってもらいたいと思えるベテラン作家も多数いるので奮起してもらいたいところ。

 昨年復活したはずの「Kappa Two」であるが、果たして機能しているのかな? 特に作品が出ていなかったような気がするが。それよりも今年になってミステリ・フロンティアやメフィスト賞のほうが頑張っているなという感じ。ただし、メフィスト賞については、講談社ノベルスからの出版よりも講談社タイガからの出版が増えてきて、ミステリからやや遠のきつつあるような気がしなくもない。また、出版点数はすくないのだが、ミステリー・リーグが良い作品(というより私好みの作品)を出しているなというところ。


 海外ミステリに関しては「カササギ殺人事件」のひとり勝ち。今年はもうこれに尽きるという一言。

 その他は、小ぶりの作品ばかりが多かったような気がするが、ポール・アルテの作品が久々に訳されたのはうれしいかぎり。この調子で未訳作品もどんどんと刊行してもらいたいのだが、ツイスト博士シリーズについてもなんとかしてもらいたいところ。

 古典ミステリに関しては、論創海外ミステリ、創元推理文庫、さらにはちくま文庫などから順調に出版され、いろいろな作品が読めた気がする。特に、近年のマクロイ新刊ラッシュが続き、ベイジル・ウィリング博士の作品が2018年で全て訳されたというのは大きなニュースであると思われる。

 近代ミステリについては、ディーヴァー、コナリー、マンケル、ウィンズロウ、レヘインの作品が訳され、さらにはジャン=クリストフ・グランジェ久々の復活というところも大きな話題であろう。

 海外ミステリについても国内ミステリと同様、不作というようなことはなく、コンスタントに良い作品が供給され続けているといった感じ。変に爆発的にブームになるよりは、このくらいの分量で新刊が出続けてくれるのがちょうどよいことなのかもしれない。あと、個人的には早川書房が過去のミステリ作品をもっと復刊させてくれればなと期待したいところである。





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