SF か行−こ 作家 作品別 内容・感想

フィニイ128のひみつ

2003年07月 早川書房 ハヤカワSFシリーズJコレクション

<内容>
 肺がんで死んだ叔父が私に遺した言葉。“フィニイ128のひみつ”その言葉を調べていくうちに“ウィザーズ&ウォーローズ”というロールプレイング・ゲームに深く関わっていることを知る。その“ウィザーズ&ウォーローズ”というのは全世界で展開されているノンヴァーチャル・ライヴRPG で剣に魔法にタイムトラベルと何でもありの設定で多くの人々が派閥を作り、互いに覇権を争っているという“ごっこ遊び”であるというのだ。そのRPG に参加して謎を追い求めようとした私は、いつしかそのゲームに深く関わることとなってゆき・・・・・・

<感想>
 簡単に読めそうだと思って手にとって見たのだが・・・・・・かなり複雑な内容に感じたというのが正直なところ。いや正確に言えば、内容が複雑というわけではなくて、その設定がやけに複雑であるということだ。

 本書では体感型のRPG のルールに乗っ取って謎に挑んでいくというものであり、その背景となっているRPG は設定が複雑なものとなっている。剣や魔法の世界の設定だけではなくて、タイムトラベルという要素まで含んでいるのだから読んでいるほうとしては、ますます混乱してしまう。さらにそうした混乱のなかで主人公の目的が当初のものと異なる方向へと、あっちへ行ったり、こっちへ行ったりとしているように感じられてしまう。何かもう少し、はっきりとした道筋をつけてくれれば話が締まったのではないかなぁと感じられる。

 とはいうものの本書は著者のデビュー作であるという。自分の頭の中でこれだけの世界を構築してしまうというのは、すごい才能なのではないだろうか。これはSF向きの期待の新人が登場したといっていいことであろう。今後の活躍に期待。




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