SF その他アンソロジー作品等 内容・感想

軌道エレベーター

1997年07月 裳華房 ポピュラー・サイエンス
2009年07月 早川書房 ハヤカワ・ノンフィクション文庫

<内容>
 地上と宇宙を結ぶ軌道エレベータの原理や技術をわかりやすく解説した作品。

<感想>
 今まで読んだSF作品のなかで“軌道エレベーター”がとりあげられているものがいくつかあった。しかし、いまいちピンとこない部分もあったので、もう少しわかりやすく説明してある本がないかなと思っていた矢先、1997年に書籍化されていた作品が文庫で登場。これは読まないわけにはいかないと、購入してすぐさま読んでみた。

 静止衛星の原理については知っていたので、軌道エレベーターのあり方自体は納得でき、おおざっぱな概要については理解できた。ただ、そういったなかでいまだわかりづらいのが、その“塔”となるもの自体をどうやって建築するのかということ。このへんに関しては、その素材がまだ開発段階というか、実現できそうなものはあるが、まだはっきりとわからないよう。この辺が未だわかりづらい部分。

 また、これを建築するにあたって、地上から組み立てていくよりも宇宙から吊り下げるように造っていくほうが効率がよいとのこと。その原理は理解できるものの、では実現するのにどうしたらというところはまだ不透明のような気がする。もちろん、具体的な案があげられてはいるものの、それが実現できるのかどうかということについては、ちょっと難しいのではないかと考えてしまう。

 とりあえずは、大雑把な概要と、現段階でどのくらいのことが考案されて進められているのかがわかっただけでも十分満足。この軌道エレベータが実際に造られるには、たとえ技術的に可能になっても、その他実現に向けて取り組まなければならないことが数多くありそう。でも、自分で乗らないまでも、生きているうちにこれを見ることができればなぁと、望んで止まない。この著書を読めば、さらにそういった気持ちが深くなる。




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