こうしてあなたたちはは時間戦争に負ける This is How You Lose the Time War (Amal El-Mohtar and Max Gladstone)
2019年 出版
<内容>
時空の覇権を争う二大勢力“エージェンシー”と“ガーデン”。それぞれの工作員であるレッドとブルー。ある時から二人は互いを知ることとなり、禁忌でありつつも二人は手紙のやり取りをすることとなり、邂逅が始まり・・・・・・
<感想>
レッドとブルーの書簡により繰り広げられる作品。この書簡部分がメインというのが、なんとなく全体的なバランスを悪くしていると感じられた。というのも、レッドの行動、ブルーからの書簡、ブルーの行動、レッドからの書簡という4つが繰りかえされる構成となっているのだが、その行動の分量が少なすぎるのである。ゆえに、レッドとブルーがいまいち、何をしているのかわからないまま、すぐに書簡のパートに入ってしまうというところが悪循環と感じられてしまったのだ。
ただ、最後まで読み終えてみると、こういった構成でも悪くはなかったのかもしれないと感じられた。最初はこの作品がタイトルの通り、時間戦争というものが主体で語られる作品なのかと思っていたのだが、読み終えてみるとこの作品は異世界人同士のコンタクトを描いた作品のように捉えられたのである。ゆえに、戦争云々とか、細かい時系列云々というような話ではないのかなと思えるようになっていった。この作品に関しては、実際に読む人にってどのような印象を持つかは変わってきそうな内容である。よって、個人個人の楽しみ方で読めば良さそうな内容の本だということで。