神津恭介  短編集 作品別 内容・感想

神津恭介、密室に挑む   神津恭介傑作セレクション1   6.5点

2013年04月 光文社 光文社文庫

<内容>
 「白雪姫」(『宝石』1949/1、2)
 「月世界の女」(『新青年』1949/9)
 「鏡の部屋」(『面白倶楽部』1953/7)
 「黄金の刃」(『キング』1956/4)
 「影なき女」(『週刊朝日』1950/1、2)
 「妖婦の宿」(『宝石』1949/5)

<感想>
 高木彬光氏によるシリーズ探偵・神津恭介が登場する作品の中から“密室”にからんだ作品が選ばれたもの。目にしたことのある作品が結構あるように思えるので(過去に読んだかどうかは定かではない)、何気に高木氏の短編作品の代表作を集めたといってもいいような。

 それぞれが“密室”を扱ったものではあるものの、実はさほどその“密室トリック”においては目を惹くようなものはないと思える。それよりも、その犯罪の動機であったり、犯人が企んだ意図であったりとか、そういう面の方が優れている作品であったという感じ。特に「白雪姫」は、トリックについては荒々しく思えて、それよりも犯人の秘められたドス黒い悪意のほうが印象に残った。

「月世界の女」は、今年になって読んだばかりの「死神の座」の短編版であることに気づく。短い作品なので、読みどころは少ないが、あっさり目な消失トリックは面白いと思えた。

「影なき女」は、作品の構成が面白かった。ある種の密室殺人のような展開がなされるものの、これもまた“密室”よりも犯罪の構成に目を惹く作品。

「妖婦の宿」は、読んでいてネタがすぐにわかってしまった。作中のある一点を看破することができれば、そのトリックはあまりにもわかりやすい。犯人当て形式で書かれているが、これは結構わかりやすいのではなかろうか。とはいえ、ミステリ作品を読みなれていない人であれば、五里霧中となる内容であるかもしれない。


「白雪姫」 屋敷の当主とその双子の弟夫婦。当主が離れで殺害されるという事件が起きたが、現場には被害者の足跡のみが残され・・・・・・
「月世界の女」 美貌の女が婚約者候補者たちに月へ帰ると言い出し、そして失踪し・・・・・・
「鏡の部屋」 かつて奇術師が作った鏡の部屋。その部屋のなかで人が失踪し、しばらくしてから死体がいつの間にか部屋に現れ・・・・・・
「黄金の刃」 四次元の世界に踏み込んだと豪語する男が、遠く離れた地から殺人を行ったと言い出し・・・・・・
「影なき女」 一緒に部屋のなかにいたはずの女が消え失せ、死体のみが残される。そんな事件が三件も起きることとなり・・・・・・
「妖婦の宿」 元女優で夫の資産を食いつぶし続ける女が殺害された。現場は監視されており、犯人が逃げる余地はないはずなのだが・・・・・・


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