高木彬光 その他の長編・短編集 作品別 内容・感想

能面殺人事件   6点

1950年06月 岩谷書店 単行本
2006年02月 光文社 光文社文庫(「第三の解答」「大鴉」収録)

<内容>
「能面殺人事件」
 終戦の翌年、柳光一は資産家である千鶴井家に厄介になっていた。その千鶴井家で、連続殺人事件が起こる。事件の発端は、般若の面をかぶったものが家の二階から柳らと見下ろしていたという不気味な様相。その後、密室殺人事件などが次々と起こる! 柳は友人である高木彬光に事件の解決を依頼するのであったが・・・・・・


「第三の解答」(短編)
 横井家で起こった事件。妻が夫の死体を発見するが、医師は現場から不穏なものを感じ取る。横井と結婚した女は早死にするのが有名で、今の妻も横井の暴虐に耐えられなかったのではないかと。やがて警察は決定的な証拠を見つけるのであるが・・・・・・

「大 鴉」(短編)
 乱行で有名な医師のおかかえの運転手が、気がおかしくなった状態で発見された。感じの医師はというと、その後の捜索で遺体で発見される。しかし、その死体の顔は何故か叩き潰されていた。いったいこの事件の原因は? そしてどのようにして行われたのか?

<感想>
「能面殺人事件」
 高木氏の長編第二作品。ミステリとしてストレートな王道的展開が繰り広げられるのだが、最後の最後では、捻りに捻りまくった終幕が待ち受けている。よく、2作品目でこういった作品を書いたなとむしろ感心してしまう。それに、書かれた年代を考えても、ずいぶんと先鋭的なミステリが書かれているなとも感じられる。

 内容は資産家の一族を狙う連続殺人事件が起こるというもの。ただ、資産家で事件が起こる割には動機がはっきりしない。しかも、その家に住む人達全部が全部、どこかを病んだ人のようでいて、常識が通じないようなところも話をややこしくしている。

 ミステリとして注目すべきところは、密室トリックなどのネタではなく、ストーリーの立て方にあるといってよいであろう。何故、このような事件が起きたのか? そして悪意はどこに作用しているのか? というようなことが注目ポイントとなっている。とにかく筋立てに感心させられた作品。

 また、高木氏作品のネタとしては、2作目にして神津恭介が登場していないというのもポイント。その代り、やや気取り気味の探偵・高木彬光が登場している。これは、内容からしてシリーズ探偵を登場させるようなものではないということは、最後まで読めば理解できる。とはいうものの、著者の名前をそのまま探偵役にしてしまうのは微妙なところか。

 それともう一点。本書で気になったのは、海外ミステリ作品のネタバレが多いこと。クリスティーの作品や、ヴァン・ダインの作品3冊くらいと、結構なネタバレをしてしまっている。この辺は、未読の方は注意といったところ。


「第三の解答」
 ポーの「盗まれた手紙」のオマージュ的な作品。内容は全く類似していないのだが、話の捉え方、考え方としてうまく「盗まれた手紙」を引き合いに出している。これは、なかなかうまく物語としてはまっているといえよう。


「大 鴉」
 正体が明らかにも関わらず、顔がつぶされている死体の謎。この謎を用いて、複雑なディテールをよくまとめあげている。これまた、うまく構成された物語。この作品い掲載されている長編と2作の短編のどれもが、非常にうまく物語がつむぎあげられている。


####   

<内容>

<感想>




作品一覧に戻る

著者一覧に戻る

Top へ戻る