<内容>
ミセス・エンディコットは、夫が突如行方不明になったのではと心配し、警察に相談する。駆けつけたヴァルクール警部補はエンディコット氏の部屋を調べ、クローゼットをあけてみると、そこでエンディコット氏の死体を発見する。これにより警察捜査が開始されることとなったのだが、医師の手によりエンディコット氏は息を吹き返す。どうやら彼はなんらかのショックを与えられ、死におちいる寸前の状態となったようなのだが、いったい何が起きたというのか・・・・・・
<感想>
著者のルーファス・キング氏の作品を何冊か読んだことがあるのだが、過去に読んだことのある「緯度殺人事件」と「不変の神の殺人事件」はいずれもヴァルクール警部補を主人公とするシリーズ作品であったとのこと。そして、本書はそのヴァルクール警部補が最初に登場したシリーズ第一作という位置づけの作品であるらしい。
ちなみに“時計殺人事件”というタイトルであるが、各章のタイトルが分刻みの時間が明記されており、それによりこんなタイトルが付けられているようである。開始から終了までで、12時間が経過する中での物語となっている。
というような凝ったタイトルが付けられた作品ではあるが、内容はパッとしない。被害者が息を吹き返したかと思いきや再度殺害されたり、主人公であるヴァルクール警部補の捜査も、見当はずれのようにしか思えなかったり、等々、警察小説たる体裁をとっていないような内容と感じられた。さらには、見知らぬものを被害者のそばに近づかせたり、風呂場に警官を配置させ見張らせたりと、何かよくわからないようなことを終始やっていた。そして、最後に明らかになる真犯人の正体についても微妙なところ。
と、全体的に微妙な感じがするのであるが、そんな微妙さ加減がこの著者の持ち味なのかもしれないと、あとがきを読むことによって、そう感じられた。ゆえに、決して面白い作品とは言えないものの、何か興味深いものがある古典ミステリであると捉えて堪能すべき作品なのかと・・・・・・
<内容>
11人の船客を乗せて出航した客船“イースタン・ベイ号”。そのひとりとして、ニューヨーク市警の警部補ヴァルクールが乗船していた。彼は逃亡した殺人犯を追っており、その犯人がこの船に乗っているという情報を得ていたのだ。ただし、犯人の姿かたちはわからず、これから怪しい者を探していかなければならない・・・・・・そんな矢先、船の無線通信士が殺害されるという事件が起きる!
<感想>
殺人犯を追う刑事ヴァルクールは、犯人が客船に乗るという情報を入手し、自ら船に乗り込み、犯人の正体を突き止めようと奔走する。しかし、船上でも殺人事件が起き、外部と連絡が取れないという孤立した状況のなかでヴァルクールは焦り始める。
というような内容であるのだが、単に船の上での犯人探しというだけで、あまり船上という設定を生かしきれていなかったかなと。ただ単に、外部との連絡がとれない状況というものを作りたかっただけなのかもしれない。
本書で不満に思えたのが、刑事が犯人を捜す際に、犯人が狙っていると思われる人物の過去に焦点を当て、その情報のみを頼りに犯人をあぶりだそうとしているところ。実際には、船の上で事件が起きているのに、その状況証拠とかをあまり気にせずに、無理やり犯人もしくは犯人像を押し込めようとしているように思えてならなかった。また、さらに付け加えれば、犯人候補となる乗客の紹介も十分になされていなかったように思われる。
最終的には、それなりのサプライズも用意されているものの、あまり面白いとは感じられなかった。
<内容>
警察にもたらされた、とある市民からの通報。車に乗っていた男たちが、死体をシートに座らせて運んでいたのを目撃したというのである。警察が半信半疑ながら調べていくと、その死体を運んでいたらしい人々は、資産家のトッド家の人たち。実は、トッド家の人々は、自殺を遂げた娘を恐喝したものを呼び出し、復讐を果たそうとしていたのである。何やら事態が不明な中、ヴァルクール警部補は、捜査を開始し、逃亡しているらしき、トッド家の人々を追っていくのであったが・・・・・・
<感想>
ルーファス・キングの作品で、邦訳が出た当時、ちょっと話題になった作品。その後、論創社から出た作品を何冊か読んだのだが、こちらの作品の感想を書いていなかったので、再読。
最初は、妙な雰囲気で始まる作品。死体を乗せた車を見たという、一般の人からの通報を、警察が半信半疑で捜査にあたるというもの。そして場面は変わり、トッド家の様子が描かれる。トッド家では、娘が脅迫被害にあって自殺し、腹を立てた親族は、その恐喝者を呼び出し・・・・・・というような形で始まってゆく。
途中からは、逃亡するトッド家の面々の様子、それを追うヴァルクール警部補の様子、といった形で展開されるものの、この事件のどこに謎があるのかと不思議な感じで読み進めていくこととなる。すると終盤に思わぬ展開た待ち受け、さらには、思いもよらぬ形で事件の真相が語られることとなる。再読ながら、結末を全く覚えていなかったので、これは驚かされてしまった。
ややアクロバット的な作品という感じはするものの、意外性のあるサスペンス小説というような感じで楽しむことができた。たぶん、これこそがルーファス・キングの代表作品なのだろうと言って良いのだろう。