な行 の  作品別 内容・感想

アノニマス

2003年10月 原書房 ミステリー・リーグ

<内容>
 カルチャースクールの小説教室で講師をしている覗木毒助は生徒達にとあるゲームを仕掛ける。そのゲームの名は“アノニマス(作者不詳)”。覗木は生徒達をけしかけ、小説を用いたサバイバルゲームを行い、生徒達をふるいにかけようとするのだが・・・・・・

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<感想>
 野崎氏の本はずいぶん前に何冊か読んだのだが、その時に読んだ印象では、もう別に読まなくてもいいかなと思い、その後手にとることはなかった。しかし、今回ミステリー・リーグの1冊に配されたということで読んでみたのだが・・・・・・昔と変わらず、やはり読まなくてもよかったかなと・・・・・・

 では本書の何が問題かといえば、内容がまったくといっていいほどミステリーしていないことである。なおかつ、ホラーとも銘打っているようなのだが、さほどホラーであるとも感じられなかった。

 内容は作家育成教室の生徒達が講師の審判のもと対決し、負けたものをふるいに落としていくという内容のはずであったのだが、そのような場面は少ししか見られない。物語の進行のほとんどが、色仕掛けをする女生徒に対して主人公であるカルチャースクールの講師が悩むというもの。あとはその講師がカルチャースクール講師としての悩みや作家としての悩みが断片的に語られるというそれだけなのである。

 結局のところ、最後まで誰を対象に何を書かんとしているのかがよくわからなかった。それに最後のオチもそれはないだろうというものであった。

「ヘイ、ポール・・・・・・ヘイヘイ、ポール」って、なんじゃそりゃ!


あなたに聞いて貰いたい七つの殺人   6.5点

2024年04月 光文社 単行本(Kappa-Two 登竜門)

<内容>
 流行っていない探偵事務所を営む鶴舞尚のもとに、ジャーナリストを名乗る桜通来良というオッドアイの女性が訪れる。彼女は、巷で噂になりつつあるラジオマーダーの正体を暴きたいので協力してもらいたいというのである。高額な報酬に目がくらみ、鶴舞は依頼を受け、来良と共にラジオマーダーについて調べ始める。ラジオマーダーは4回放送していて、4人を殺したと言っているのだが、まだ警察も動いておらず、被害者が発見されていない。そこで鶴舞は今までの情報から推理を重ね、見事一人の被害者の死体を発見し、本格的にラジオマーダーとの対決に名乗りをあげることとなるのであったが・・・・・・

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<感想>
 読み終えてみると、結構面白かったと満足させられた。選出された後に改稿したとのことなので、それで読みやすくなったのかもしれない。非常に読みやすい作品であった。

 劇場型ミステリとでもいうべき作品なのか。ラジオで殺人を実況する犯人に対して、その犯人の正体を突き止めるべく、探偵も配信によって対抗していくというもの。犯人は七人の殺害を予告しており、それら全ての犯行を成す前に犯人を捕らえられるかという内容。警察もこれら犯罪をとめるべく行動してゆくのだが、誰かもわからない探偵に先回りされてしまうばかり。そういった、探偵側の行動と、右往左往する警察の行動が相互に繰り広げられ展開されていく。

 正直なところ、読んでいる最中は、ややチープな感じだなと思ってしまった。ただ、最後に全ての真相が明らかになる部分で、全て取り返したという感じ。読み終えてみると、途中で感じた全ての違和感や疑問が全て明かされるように創りこまれている。なかなかうまくできている作品と感心。


未館成の殺人   6点

2026年02月 光文社 単行本

<内容>
 X大学推理小説研究会のメンバー6人は夏合宿として無人島へ行くこととした。その島は変わった建物を建てる建築家・黒澤泰洋が自分のための建築物を建てる予定であったのだが、当の黒澤が失踪したために、基礎工事のみでストップしたとのこと。推理小説研究会として、この一連の謎に取り組むために、一泊二日で島に滞在することとなった。そして、漁師の船に乗り、島に着いたとたん、船が燃え、爆破し、一同は島に取り残された状態となる。さらには、このような状況の中でメンバーの一人が死体となって発見されることとなり・・・・・・

<感想>
 2024年に“Kappa-Two 登竜門”でデビューした作家の2作品目。今作は脱出不能の無人島で起こる連続殺人事件を描いたものとなっている。

 今作は、普通の本格ミステリ風の作品という感じはするものの、全体的に設定が粗いように思われた。まず、無人島でサバイバルを繰り広げながらのミステリという設定は、なかなかきついものがあるという風に捉えられた。水や物資が少量しかないという絶望的な状況の中でミステリ的な展開を繰り広げるという事自体が、無理がありそうに思えてしまった。むしろ、極限状態のほうに目が奪われて、読んでいる中、他に頭がまわらなくなるというような状況。

 また、真相が明らかになったときには、それであれば、こんな展開にはならないのでは? と、疑問が浮かび上がってしまう。なんだかんだ言って、殺人を行うという動機があまりにも弱いと感じられてしまった。

 というわけで、ミステリ的な展開がなされ、それらしくまとめてはいるものの、度々違和感を感じてしまうような作品であった。どこかバランス感を欠いたようなミステリという印象。




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