小学生〜中学生時代の読書
厳密な意味で推理小説を読み始めたと言えるのはのは中学生になってからだろう。当時、小学生のころからいろいろな本を読んでいた。当然そのころは児童向けのものを読んでいた。小学校の中学年くらいから図書館に通い始め、いろいろなジャンルの本に触れるようになった。そのなかで、クイズ形式をとった推理ものがお気に入りであったように思える。そこらへんを走りとして、児童向けの少年探偵団のような本に徐々に触れていったような気がする。そのときのもので覚えているのは、「マガーク探偵団」のシリーズがお気に入りであった。なぜか、その頃の児童書では日本のものより外国のもののほうが面白く感じ、海外の児童書ばかりをあさっていたような気がする。今でいえば、ハリー・ポッターを好んで読むような感覚か。
そして、小学校高学年になったときに夢中になったものがポプラ社から出版されていた「ルパン全集(全30巻)」「江戸川乱歩全集(全46巻)」の2タイトルである。何冊かは親に買ってもらい、ほとんどは図書館から借りてきて全て読破した。全て読み終えるのに中学までかかったかと思う。やはり今でも推理小説を読み続けているのは、これらのシリーズ出会った影響ではないだろうか。それほど、そのときは夢中になったものである。
ちなみにこの頃、「シャーロック・ホームズ」の本はまったく読んでいなかった。良い児童書に巡り会えなかったのが一つの原因であろうと思う。よって、私のなかでのホームズ像というのは、ルパン全集のなかで描かれているホームズのみでしかなかった。そんなわけでどちらかといえば私は今でも“ルパン派”である。
中学生になってからは徐々に文庫本へと読書の対象が変わっていった。この時期が児童書からの移り変わりの時期となっていった。このきっかけは何かといえば、“推理クイズ”である。たしか“ワニの本”であったかと思うのだが、クイズ形式のミステリーの謎解きのものが何冊か発売されていた。そしてそれらの中で確か「50人の名探偵」というようなタイトルだったと思うが、主に外国の探偵と作品を紹介したクイズ本が出版されていた。この本によって、海外の推理小説や探偵に興味を覚え、その本と照らし合わせながら推理小説を買っていくようになったのである。
ただし、ここには今でも引きずるジレンマのようなものがある。その“推理クイズ”の書であるが、この手の本ではかなり有名な人が書いているので著者がわかる人は多いと思う。この人のクイズ本は有名なトリックのネタばれをおおっぴらに書いているのだ。しかも私が読んだ本には一覧になっていて、“意外な犯人の小説”と題され、犯人役の者達が列挙されていたのだ。わたしはこれによって、「Xの悲劇」「Yの悲劇」「アクロイド殺害事件」などという有名な小説の犯人を知ってしまったのである。よって、私はいまだに「Yの悲劇」に対する正当な評価をくだすことができないでいる。その他にもこういった推理クイズには、有名な推理小説のトリックのネタが明かされているものもあった。この推理クイズの紹介を読まなければ出会えなかった本も数多くあるはずなのだが、それにしてもこれが原因で読むことがつまらなくなってしまった本も多々ある。今現在になってもこの出会いというのが正当だったのか否だったのかとふと考えることは多い。
まぁ、そんなこんなで推理小説に出会い、中学生の頃はおもに海外の作品を早川文庫や創元推理文庫で読みあさっていた。今思えば、わけもわからずによく読んでいたなぁと、しきりに感心する。面白く感じたものを数多くあるが、わけがわからず明らかに時期尚早と思われるものも多々あった。
そういったなかで一番読みやすかったのは、“アガサ・クリスティー”である。「そして誰もいなくなった」「ナイルに死す」などと代表作が目白押しであり、なおかつ翻訳が読みやすかった。そんなに数多く読んだわけではなかったのだが、当時の中学という年齢でも非常に楽しく読めた。
また逆に当時読んでみてもよく理解できなかったものは、“エラリー・クイーン”のシリーズや“クロフツ”などといったちょっと固めの作家のものは少し早すぎたのではなかったかと思う。“エラリー・クイーン”においては全作読み直しをはかり、昔読んだものや読んでいないものを現在読破中である。今であれば、「チャイナ橙の謎」等の傑作がいかに現代に読み告がれているかを理解することができる。また、当時理解できなかった“クロフツ”の「樽」にも同じことが言える。
しかし、そういったなかにも当時読んで強烈な印象を残したものは“エラリー・クイーン”の「エジプト十字架の謎」である。あの解答の明快さは目を見張るものがあり、今でも登場人物の項を見れば誰が犯人だったかを指摘できる。他には「グリーン家殺人事件」「僧正殺人事件」「赤毛のレドメイン家」「トレント最後の事件」「隅の老人の事件簿」といったところが細部は(もしくはほとんど)覚えていないのだが、それなりのインパクトがあったことは覚えている。また、このころにようやく「シャーロック・ホームズ」ものも読むようになった。
さらには、広い意味でのミステリー、サスペンス等では「87分署シリーズ」(今でも読み続けている)、「幻の女」「暁の死線」「長いお別れ」なども面白く読んだものである。
そして読書はとどまることを知らずに高校生以降の学生生活へも侵食していくのだった。そこからようやく日本の推理小説への転換にいたるのであるが続きはまた後日。
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