ノン・フィクション 内容・感想

ホット・ゾーン エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々   The Hot Zone (Richard Preston)

1995年 出版
2014年09月 飛鳥新社 ノベルス
2020年05月 早川書房 ハヤカワ文庫NF

<内容>
 1989年、米国の首都ワシントン近郊にて発見されたエボラ・ウィルス。そのウィルスは致死率90%を超え、一般に広まってしまうと大災害となってしまう。パンデミックを阻止するべく、米陸軍伝染病医学研究所の科学者たちが、感染と隣り合わせの中で事態の収拾にあたる。
 未知のウィルスとの戦いの最前線の様子を描くノン・フィクション。

<感想>
 今でも全くなくなったわけではないだろうが、かつて“エボラ出血熱”という病気が取りざたされたことがあった。それがどのように発症し、それら感染とどのようにして戦ったのかという実録を描き上げた作品。ノベルスが出た当初、ミステリランキングにも取り上げられ、それを機に購入したものの、読まずじまい。それが、コロナウィルスが流行ったことによるものか、同じ感染を題材にした作品として文庫化されたので、再度挑戦してみようと購入。それでようやく読むこととなった次第。

 エボラに関しては、まったく空気感染しないというわけではないにしろ、インフルエンザ等ほど感染力が強くないので、そこまでは広がらなかったようである。しかし、これらが発症した未開の村などでは、注射器が使い廻しされるなどと言った行為により、病院内に広がって、感染が拡大してしまったらしい。ただ、それも昔の事であるので、今となってはそれを教訓に、注射器の使い廻しなどは全世界でも無くなってきているのではないかと信じたいところである。

 ただ、インフルエンザよりも感染力が強くないとは言っても、そのウィルスが発見された当時は、そういったこともよくわかっていかったようであり、現場ではそうとう苦労を強いられただろうと考えられる。実際に、ワシントンでそれら発症を食い止めようとするグループの者達も、死に物狂いで感染を止めようとする様が描かれている。まさに目に見えない恐怖と戦うということは、こういったことなのであろうと恐れ入ってしまう。

 この感染源が、結局は熱帯雨林の奥から人知れずに発症したものとしか、わからないところがまた恐ろしい。現在ではそういった伝染病が流行らないように検疫所などが設けられているようであるが、これらが鳥などの行動範囲が広い動物などから感染してしまうようなことがあると、水際で抑えるというのも難しいであろう。そして、感染の広がり方はまた別であろうが、実際にコロナウィルスが世界中に拡大したことを考えると、今後も未知の感染症と戦うといった行為は続いてゆくのであろう。コロナや他の感染症と合わせて、それらの原因から水際対策といったものをこういった作品で書き上げて残しておくということは重要であるということを感じさせる作品である。




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