<内容>
編集者の須藤は雨宿りするために入ったデパートにて、女性のスカートをカミソリで切りつける変質者扱いされて大騒ぎされる羽目になる。次の日、テレビを見ると昨日デパートで会った女がなんとテレビに映っていた。彼女は死体となって発見されたのだという。須藤は容疑者として警察に逮捕される。
刑事弁護士に頼まれた探偵は須藤の無実を証明すべく事件を調べ始める。そして捜査が行き詰ると探偵は決まってバー“三番館”へと赴き、そこのバーテンに相談するのであった。
<感想>
アリバイトリックの教科書的作品。単純といえば単純ながらも、そのトリックの創作の的確さに感心できる作品となっている。ただ、ひとつ思ったのは警察の容疑者逮捕の根拠が薄弱すぎやしないかと。ラストにおいても、トリックが明かされるものの、それだけでは犯人逮捕の決め手とはならないのではと感じたのだが。
<内容>
プレイボーイでならす製薬会社に努める増田はある男から女性関係のことで脅迫を受ける。しかし彼の女遊びのことは妻でさえも公認していることなので、その脅迫を一蹴する。ある日、勤務時間が終わった後、いつものように変装して女性を引っ掛けようとしていたとき、逆に増田のほうが魅力的な女性から誘われることに。二人は中華街へ行き、共に時間を過ごす。すると次の日、増田を脅迫しにきていた男が他殺体で発見される。増田に容疑がかかるのだが、当の男が殺されたとき、増田は名も知らない女と過ごしていたためアリバイが証明できずに・・・・・・
<感想>
題名のとおり「幻の女」を意識した作品。できは普通であると思うのだが、肝心のトリックがあまりにもわかりやすすぎると感じられた。とはいえ、串団子から突破口を見つけるというトリックの暴き方は面白かった。
<内容>
よくキャバレーに来る羽振りの良い男・山辺。その山辺が勤務先のデパートにて死体で発見された。山辺がキャバレーの女給に電話をかけていたときの事までは足跡をたどることができたのだが、その他の足取りはつかめなかった。容疑者として山辺に脅迫されていたとみられる女性が逮捕されたのだが、その亭主は妻の無実を信じているという。依頼された探偵が捜査に乗り出したところ作曲家の竜王という男の名前があがってくる。しかし、その竜王には堅牢なアリバイがあった。
<感想>
これは完全なるアリバイ崩しの作品である。まぁ、それほど奇をてらった作品ではないと思える。ラストにて明かされる、とあるトリックがメインでもあると思うのだが、そのトリックはあまりにも危険すぎると思うのだが。
<内容>
楽器店に勤める一寸木(ちょぎ)秀夫は佐藤と名乗る女性客から呼び出される。一寸木は大きな利益につながると喜んで佐藤家を訪ねようとしたところ、指定された場所でそれらしい家を見つけることができなかった。そしてその後、佐藤某からの連絡は一切来なかった。その事件を忘れそうになったとき、一寸木は警察から逮捕されることになる。なんでも杉田という人妻が殺され、その愛人として一寸木の名前があがったという。現場に捨てられた煙草、イニシャルの入った時計、それらの証拠から一寸木は逮捕されたのだが、彼には全く心当たりがなく・・・・・・。
<感想>
この作品も警察は無茶な捕まえ方するなと思わずにはいられない。どちらかというと一寸木の話のほうが説得力があり、一寸木が愛人であるという証拠はほとんどないような気がする。
とはいうものの、その逮捕が元でお馴染みの探偵が捜査を始めることとなる。今回はバーテンダーの推理が神がかりすぎているように感じられた。いきなり真相の核心をついてしまっている。この作品はトリックとかはごく普通だと思えるのだが、見るべきところは探偵が仕掛ける罠にあるように思える。あまりにも強引過ぎるように思えるがそれでも事件解決の役にはたっているようだ。
あと一つ付け加えるとすれば、メイントリックともいえる“白い手黒い手”に関するトリックはなかなか逸品であると思える。
<内容>
強請をしていた探偵が何者かに殺された。容疑者は4人。その四人ともが探偵が殺された前後に殺害現場を訪ねているという。殺人を犯したのはいったい誰なのか?
<感想>
ある種のアリバイトリックものといってよいであろう。そしてそのアリバイを解く鍵が殺害現場の中に転がっている。この“鍵”の存在はなかなか見事なもの。表題作“太鼓叩きはなぜ笑う”というのにも若干謎がかけられているが、こちらからは直接謎を解くことはできないであろう。とはいえ、なかなか絶妙な謎解きになっていると思える作品。
<内容>
脅迫を受けたプロデューサーが弁護士に泣きつき、探偵はその脅迫の元となっているカセットテープを取り戻すことを試みる。しかしその恐喝屋を訪ねてみると男は何者かに射殺されていた。また、中国屏風に弾丸の突き抜けた跡があるにもかかわらず銃弾は見つからず、部屋にはカセットテープを燃やした跡があるという奇妙な様相をていしていた。
<感想>
発想の飛躍により、現場の奇妙な状況から犯人を当てるという推理は見事。また、最後に犯人を指摘するための証拠もなかなか気が利いている。
<内容>
とあるOLが高利貸しに金利を払いに行くと、その高利貸しが殺されていた。あわてて逃げるOL。しかし、翌日殺人容疑でそのOLが逮捕される。他にも怪しいと思われる盲目の琴の師匠とプレイボーイの翻訳家がいるのだが、どちらにもアリバイがあった。結局のところ真犯人は誰なのか?
<感想>
単純なミステリーかと思いきや、ミスディレクションを突いたなかなかの秀作である。殺害現場の電球が割れていたことから、事件は単純なところに落ち着くのかと思ったのだが、そこにうまく別の論理を当てはめて綺麗な解決を成立させている。
<内容>
探偵の元に夫の素行を調査してもらいたいという奇妙な依頼があった。その依頼を受け男を尾行したものの、特に何ら変った動きは見られなかった。その後、とある殺人事件が明らかにされる。その事件の容疑者らしき人物が挙げられるのだが、それがなんと探偵が尾行していた男だという。探偵自身が男のアリバイを証明することになってしまったのだが・・・・・・。
<感想>
この作品は打って変わってハードボイルド調な作品。最初から探偵が登場し、事件の渦中に飲み込まれてしまう。ただし内容はというと双子を使った入れ替えトリック。菊の花アレルギーを用いて論理を展開するものの、結局は普通の作品に収束してしまったという感じであった。
<内容>
プレイボーイとして鳴らした男が殺された。容疑者として夫に隠れて浮気をしていた女性が挙げられる。その無実をはらすべく探偵が捜査に乗り出すものの、他の容疑者達は皆しっかりとしたアリバイを持っていた。困った探偵はいつもどおり三番館に向かい・・・・・・。
<感想>
これは小道具として銃弾が打ち込まれた時計を利用したもの。その時計から逆に探偵は犯人のトリックを暴くことになる。オーソドックスなミステリーながらも、なかなかうまく出来た作品。
<内容>
麻雀好きの5人のうちの紅一点、ミチル。毎週集まって麻雀を徹夜でしていたのだが、ある事をきっかけに解散をしなければならない羽目となる。仲間のうちのひとり小村が自動車事故を起こしたということで、賠償金が必要になったというのだ。そこで麻雀の掛金を清算したいと言い出したのだ。要求してきたのは莫大な額でミチルにはとても払えるものではなかった。一応、約束どおり小村の家へと行ってみたものの・・・・・・そこで待っていたのは何者かに殺害された小村の死体であった。ミチルは警察から疑われるはめとなり・・・・・・
<感想>
ひねった様な、たいしてひねってない様な微妙な作品。アリバイトリックものではあるものの、それほどきちんとしたアリバイだとは思えなかったのだが。それよりもタイトルの付け方が絶妙であると、読み終えてから気づかされる。いや、それにしてもストリーキングとは・・・・・・
<内容>
OLの良子に似た人物が近隣でよく見かけられるようになったという。しかもそれが詐欺事件にまで発展したことにより、当の良子は迷惑をこうむる事に。そっくりな人物が徘徊するという事件、その目的はいったい??
<感想>
これは事件の導入としては珍しく、殺人ではなく詐欺事件の依頼を探偵らが請け負うこととなる。まるでドッペルゲンガーのような事件であり、探偵が調査を始めてからも事件はとどまらずに、進行し続けてゆくこととなる。と、思っていたら、尻切れトンボのようなかたちで終盤になって、あっという間に終わってしまったという感じである。もう少し事件と捜査とのメリハリが欲しかったところ。
<内容>
売れない作家に1年間連載の依頼が来る。編集者は作家のネームバリューを上げるためにと、とある提案をする。それは、作家が自分自身の偽者を語って、世間を騒がすと言うものであった。編集者の提案に乗って、悪ふざけをする作家であったが、それが原因で殺人事件の容疑者となってしまう。
起きた事件とは、編集次長が殺害されたというもの。現場の様子から、ギリシャ神話でいうサムソンのような力持ちにより行われた事件だと思われ・・・・・・
<感想>
趣向は面白いものの、前半の作家が偽者となって動き回る部分と、殺人事件とのリンクが全くといっていいほど成されていない。
これはあからさまに前半の主人公である作家がとある者の作為によってだまされると言うのはわかりきったこと、という流れのはずなのだが、この作品のような終わり方をしてしまうと、前半の展開自体が意味を成さなくなってしまうように思える。ただ、前半を読んで読者が考えたものに対して予想を裏切る展開という趣向であるのかもしれないが、それもちょっと違うと感じてしまう。
<内容>
小説界の権威あるF賞に盗作疑惑が持ち上がった。今回の受賞者である松浦氏の作品に対して、宝泉寺というものが自分の作品の下書きを松浦に頼んだところ、それが賞に掲載されたと言うのである。しかも証拠として下書きのノートを持っているとのこと。編集者のひとりが現地へと行き、確たる証拠をつかんだかと思われたが、その編集者が殺害されてしまうという事件が起きてしまう。
この事件が弁護士をかいして探偵のもとへと持ち込まれ、探偵が現地へと飛ぶ。
<感想>
このような、作家による盗作事件をあつかった内容のものはよく見かけるような気がする。やはり作家にとっては身近なところなので題材にしやすいのであろうか。発端はともかく一発ネタながら、これはうまくできた作品であると思われる。推理できるという内容ではないが、解答は実に明解でわかりやすい。
<内容>
探偵のもとに夫の浮気調査の依頼がもたらされる。さっそく尾行へと出向く探偵。すると、なにやら怪しげな行動をとり続ける目的の人物。しかし、その尾行の最中、なんと尾行を続けていた相手の上から、飛び降り自殺を図った男が落ちてきて・・・・・・。そして、残ったのは男がとった謎の行動のみ。
<感想>
ワンパターンにならないための趣向は面白かったと思える。ただ、その代わり、残された謎についての推理があまりにも飛躍しているようにも感じられた。一応、きちんとした解は付けられているものの、従来の三番館ものとは違い、突飛な推測を楽しむ趣向というような内容。
<内容>
宝石のセールスマンである水沢は友人で資産家である加藤が主催するパーティへと出向く。そこで商品である宝石を売り込もうとするとき、大きな百足の出現に驚く客達。しかし、その百足はゴムのおもちゃであり、誰かがいたずらのために仕掛けたものであった。その騒ぎの後、加藤が購入していた猫目石が紛失している事が判明。探偵は消えた宝石の行方を捜す破目になるのであるが・・・・・・
<感想>
最初は途方もない宝石探しを試みる内容なのかと思っていたのだが、火に投げ込まれたゴムの百足のおもちゃから緻密な論理が導き出される。思いもよらず、きちんとした論理的推理が導き出されたのには驚かされてしまった。実に良く出来た作品。
<内容>
貝の収集家で有名な翻訳家が何者かに殺害された。疑われたのは、同じく貝の収集家で作家を営む男。彼にアリバイはなく、さらには彼が犯人だと指し示す証拠までもが見つかる。弁護士の依頼を受け、探偵は容疑者の無実をはらそうとする。捜査していく中、被害者の元恋人が怪しく思われたのだが、彼女には完璧なアリバイが・・・・・・
<感想>
いわゆる裏の裏とでもいうべきミステリ作品。直球勝負でも、なかなか凝ったミステリと感じられるところを、その想像のさらに先を行く内容・・・・・・であるのだが、かえって犯罪者の行動にやりすぎという印象が強く残る。やりすぎたがゆえに、あちらこちらに証拠を残してしまっているようにも感じられてしまう。
<内容>
作家が死んでいるのを編集者が発見した。作家の体には包丁がつき立てられていたものの、降り積もった雪の上に被害者のみの足跡が残されていたことから自殺と判断されてしまう。弁護士の依頼を受けた探偵は現場を調べや関係者の話を聞き、トリックを暴こうと・・・・・・三番館のマスターに相談する。
<感想>
雪の上に付けられた足跡のトリック。問題は単純ながらも、きっちりとした回答が用意されている。ただ、トリック自体はうまくいっているとはいえ、死亡時刻の問題だとか、ばくちのような要素があったりと、少々納得しづらいものが残るのも確か。
<内容>
渋谷の道玄坂上に建つタワー東京。入場終了間際にひとりの女がボストンバックを持って入ってきた。彼女は螺旋階段を登り、頭頂部へと行ったまま、そのまま戻ってこなかった。彼女の仲間だと言うバンドマンたちが駆けつけてきたが、女の姿はなく、タワーの頭頂部にはボストンバックが置かれていただけ。タワーを降りて、周辺を探すも、彼女が着ていたと思われる上着が落ちていたのみ。弁護士の依頼を受けた探偵は、消えた女の行方を捜そうとするのだが・・・・・・
<感想>
これはちょっとわかりやす過ぎるか。伏線も気づく事ができるので、自分で考えたトリックが合っているだろうということまで確認できる。
<内容>
発見された被害者は“X・X”というダイイングメッセージを残していた。容疑をかけられた男の無罪を証明してもらいたいと弁護士から依頼された探偵は、さっそく捜査を開始した。しかし、重要な手掛かりを目撃していた女性が殺害されてしまい・・・・・・
<感想>
前段階が練られていないせいか、唐突にアリバイ・ミステリになってしまったという感じがした。アリバイ・トリック自体は普通のもので、ダイイングメッセージに関しても全体的な内容からすれば、さほど重要なものではなかったと。
<内容>
金貸しをしていた女性が殺害され、容疑にあげられたのは弁護士の姪であった。弁護士から必要以上に強く依頼され、探偵は捜査へと乗り出す。捜査線上に3人の名前が挙がるのであったが・・・・・・
<感想>
てっきりこれもアリバイものなのかと思っていたら、なんと最終的には密室殺人事件がメインとなってゆく。密室トリックに関しては、類を見ないもののようではあるが、なんとなくきついというか、苦しいというか(特に真犯人の踏ん張り具合が)。
<内容>
季節はずれのロッジに集まった5人の男女。どうやら4人はひとりの男によって集められたらしい。その男は、他の皆を恐喝していた。そうして一晩明けたのち、屋外で恐喝者が死亡しているのが発見された。被害者の足がきれいなことから、何者かが殺害後にここへ棄てたと考えられるのだが・・・・・。探偵は、いつものように三番館のバーテンダーの力を借りて謎を解く。
<感想>
前置きが結構長く、しかも長編が始まるかのような雰囲気。ただし、後半の解決部分はかなりあっさり目で、全体的にページ数の少ない短編となっている。犯人を指摘するロジックは面白いのだが、やや決め手に欠けているようにも感じられる。一応は、ロジック重視の作品ということなのであろう。
<内容>
サラ金勤めをする男は、何やら怪しげな男に金を貸すことになった。一応、遅れることなく利子を返し続けてくれているのだが、ある時、家まで金を取りに来てくれと頼まれる。その家は、いわくつきの家らしく、以前住んでいたものが突然家の中から消失してしまうという事件が起きたことがあるのだという。そしてまた、サラ金の男の前で金を借りていた男が家に呑み込まれるように消えてしまい・・・・・・サラ金の男から頼まれた探偵は、事件を調査するのだが・・・・・・
<感想>
今回は珍しく、弁護士が出てこずに、事件の関係者本人から依頼を受けることになる。家の中での人間の消失を描いた作品であるのだが、トリックがやや小ぶりかなと。なんとなく、あまりにも簡潔にサラッとかわされたという感じがしてならない。
<内容>
社長候補と目される新入社員が殺害される。彼に嫉妬していた同期の二人に容疑がかかるものの、彼らにはアリバイがあった。さらに、同じ会社でお局様的な存在の女社員が殺害された。彼女は同じ会社の職員に対して、金貸しをしていたようで、それによるトラブルかと思われるのだが・・・・・・。弁護士に依頼された探偵が捜査しては見るものの、決め手が見つからずお馴染み三番館のバーテンダーに話をしてみると・・・・・・。
<感想>
会話の中でのちょっとした内容からバーテンダーが真犯人を指摘する。ただ、今作では容疑者となっていた者全員がきちんと書ききれていなかったような気がして、なんとなくもやもやした感じが残ってしまう。やや、荒目の内容になってしまっているなと。
<内容>
資産家の男がひとり暮らしでは心もとないため、4人の甥と姪を呼び寄せ、一緒に暮らすことになった。しかし、男は独善的で甥と姪らは苦労することに。甥のひとりは、会社を辞めて研究をしたいと告げると非難され、もうひとりの甥は結婚相手がいると言うと別れろと言われ、姪のひとりは大切なレコードを割ってしまい、家から追い出されそうになる。彼らは男の言うことをきかないと遺産が相続できなくなってしまう。そんなとき、資産家の男が毒殺されるという事件が起きた。男が寝酒を飲むことを知っている者、知らない者。アリバイのある者、ない者。動機のある者、ない者。四人のうち誰が毒を混ぜたのか? 探偵は、さっそくこの事件をバーテンダーに話をしてみる。
<感想>
事件のパートが長く、探偵の捜査活動がほとんどないという従来のシリーズ展開とは異なる作品。それもそのはず、これは推理クイズ番組「私だけが知っている」の台本を小説化したものとのこと。
さすがに犯人当てに書かれたものだけあって、うまくできている作品である。アリバイというひとつの点に絞り込むことにより、明快に謎が解けるようになっている。
<内容>
公園でひとりの男の死体が発見された。男は新興宗教の部長を務める男であった。女癖が悪く、また新興宗教内部でも出世競争などから敵が多い男であった。容疑者は二人に絞られたものの、全く決め手がない。しかも、とある写真によってそれぞれのアリバイが確保されている。そんなときにもう一つの殺人事件が起こることとなり、バーテンダーは真相を解明する。
<感想>
写真のトリックはなさそうなトリックではあるが、あればあったで面白いものではある。ただ、この作品ではそれがメイントリックではなく、タイトルにあるものが決定的な真相解明への糸口となる。そのトリック自体は良いと思われるのだが、ちょっと唐突であったかなという気がしなくもない。
<内容>
イラストレータの久木はコンビで仕事をしている小説家・大迫からの誘いでドライブに出かけた。途中、大迫の用事でミステリー評論家の赤星のところに立ち寄ったが留守であった。一方、同じころかつて赤星と一緒に暮らしていた伊那リエ子は付き合っていた男にふられ、やけ酒を飲んだ後、公園で男に襲われそうになったところを何とか逃げ延びていた。そしてちょうどそのとき、評論家の赤星は殺されており、大迫とリエ子に嫌疑がかけられることに。
<感想>
推理のパートがほんの少しで、かなり推測・憶測に近いものとなっている。肝心と思われたアリバイトリックよりも、ジャケットの色にまつわる部分のほうがポイントとなっているようだ。
<内容>
伸枝のマンションに友人のひろみから電話がかかってきた。彼女は今、軽井沢にいるというのだが、そこから東京まで2時間少々でたどり着くというのである。伸枝はひろみと賭けをすることとなったのだが・・・・・・
新潟行きの急行列車で男の乗客が突然苦しみだし、死亡した。どうやらウイスキーに毒を盛られ、殺害されたもよう。探偵は被害者の元妻から真相を調べてもらいたいと依頼され調査を始める。被害者の男は、近々まとまった金が入ると周囲にもらしており、恐喝事件にかかわっていたようである。それに失敗して、殺害されてしまったようなのであるが・・・・・・
<感想>
アリバイ崩しものの内容であるが、とあるネタから生じたトリックのよう。冒頭の賭けがヒントであり、真相へとつながるようになっている。旅行か何かをしていて思いついたネタであろうか。
<内容>
作家の鮎川哲也はアメリカの作家、エラリー・クイーン(フレデリック・ダネイ夫妻)が招かれるパーティーに出席することとなった。後から気付いたことだが、色紙を持って来てサインをもらえばよかったと後悔することになる。
その後、編集者の家に招かれたときに、クイーン氏からもらったサインを編集者が披露することとなる。しかし、その色紙が突如、消えうせてしまった。いったい色紙はどこへ消えたというのか?
<感想>
三番館のシリーズでは異色作といえよう。鮎川氏自身が登場し、他に出てくる人たちも実在の人たちばかり。トリックのネタは、実際にあった話を用いたものなのだろうか。昔の書籍に関する話なども披露され、色々な意味で興味深い内容の作品であった。
<内容>
勝手気ままにホラを吹き合うことを目的とする「ホラーの会」。年に4回ほど小旅行の企画を行っているのだが、今回は鎌倉在住のミステリー作家が案内役を務めてくれることとなった。作家に連れられて鎌倉の裏名所を辿ることとなる「ホラーの会」の面々、7、8名。するとその途中、メンバーのひとりがいなくなり、やがて死体で発見されることとなり・・・・・・
<感想>
実名が入り混じる「死者を笞打て」短編版。実名が多々出て来るものの、昔の話過ぎてほとんどの人名がわからない。ややマニアック。
そうした趣向を混じらせつつも、今作ではいつもの探偵と弁護士が出てこず、上記の内容に関するものは実は作家の書きかけの原稿とのこと。そこまでを読んで三番館のバーテンダーが結末を推理するというもの。“ミステリーガイド”ということで適当な内容かと思って読んでいたのだが、結末を見ると思いもよらぬ推理が展開されており、かなり驚かされることとなった。決してあなどることのできない作品。
<内容>
仕事がなく暇をもてあましている探偵のもとに直接依頼人が来た。彼の持っている肖像画を盗むという予告状が来たというのだ。依頼人は4月1日に行われる誕生日パーティーの席で招待客の内の誰かが肖像画を盗むのではないかと恐れていた。探偵も招待客にまぎれてパーティーに参加するのだが、突如の停電の間に肖像画が盗まれてしまい・・・・・・
<感想>
何となく探偵の仕事に対する姿勢がいいかげんというか、捜査がいいかげんというか・・・・・・別に今始まったことではないか。結末にいたると、確かにこれしかないというところにぴったりと納められる。禁煙というキーワードがこのように効いてくるとは。
<内容>
岡持ちと双眼鏡による覗きによって犯行時刻が特定された事件。競馬のノミ屋の男が殺害され、容疑者が逮捕された。その無実をはらそうと弁護士はいつものように探偵に事件を依頼する。すると探偵の活躍により事件の謎が解けたかのように思えたのだが、唯一“死者がクシャミをした”という謎が残され・・・・・・
<感想>
探偵、弁護士、三番館のバーテンといつものメンバーがそろった事件。珍しく探偵の活躍により事件が解決に向かったかのように見えたのだが、バーテンにより真相が明らかにされる。死体がクシャミをしたという謎が面白く、かつ、タイトルに含められた伏線がまた心憎い。
<内容>
小さな改装中の美術館から高価な写楽の絵が盗まれた。外は雪が降っており、足痕からすると絵はまだ美術館の中にあると思われたのだが、いくら探しても当の絵画は出てこない。そんなとき、女装した男が歩道橋から転落死するという事件が起こる。探偵はその女装した男の事件を依頼されるのだが・・・・・・
<感想>
写楽の謎については良く知らないのだが、外国人説というのは結構ポピュラーな説のひとつのようだ。
肝心の内容については、写楽の絵がどのように盗まれたのかという点についてはうまくできているのだが、女装した男との関連はやや飛躍しすぎのようにも思える。アイディアとして面白いとは思うのだが。
<内容>
探偵のもとに直接電話で依頼が。とある男を尾行してほしいという。簡単な内容で、高額の依頼にとびつく探偵。二日ばかり男の後を追い、調査を終える。
後に弁護士から女性カメラマンが死亡したという事件について聞くことに。その容疑者を助けたいので、真犯人を探してほしいというのだ。探偵が調査していくと、女性カメラマンが死亡した日にちと、彼が妙な依頼を受け、男を尾行した人が同じ日だということに気づき・・・・・・
<感想>
探偵が調査を請け負う話と、事件の背景は面白いのだが、ミステリとしての内容は普通。むしろ犯人は探偵に妙な依頼をしなかったほうがよかったのではと考えてしまう。
<内容>
とある推理作家がダイイングメッセージを残して死んだ。探偵は弁護士からそのダイイングメッセージの謎を解いたものには賞金2千万円が払われると聞き、はりきって捜査にのぞむ。探偵はあと一歩のところで真相まで近づくのであるが・・・・・・
<感想>
ダイイングメッセージの謎を解くというものなのだが、決してわかりやすいものでないどころか、実は本題はそこではなかったりと。例によってバーテンから真相が明かされるものの、突飛というか意表を突き過ぎというか。でも、よくよく考えれば警察の捜査が真相の方へと向いていかない方がおかしいとも考えられる。
<内容>
ビルの40階にオフィスを持つ風見氏。そのオフィスに強盗が入る。アルバイトの若者の機転により、何も盗まれずに済むのだが、当の強盗はエレベーターボーイを襲った後、誰の目にもとまることなく消え失せてしまい・・・・・・
<感想>
まるでエドワード・D・ホックが描く不可能犯罪のようである。真相は単純ながら、作風としては好みの作品である。
<内容>
レコードの好事家達が集まり、レコード・コンサートを行ったところ、集められたうちの誰かが貴重なレコード盤を壊してしまったのだ。結局誰がやったのかわからないままとなってしまい・・・・・・
<感想>
単純な事件の中にちょっとした心理トリックを織り交ぜているところが面白い。きちんと伏線をはってあるのだが、気づきそうで気づかなそうな絶妙なトリック。