殺  意
Malice Aforethought   1931

 イギリスの片田舎の開業医、ビクリー博士は名士となるために結婚した妻ジュリア(ジュリアはお金のために結婚した)の傲慢な態度がだんだん疎ましくなってきた。ビクリー博士はそんな堅苦しい結婚生活の中、村の気に入った娘に対して隠れてちょっかいをかけるなどをして過ごしてきていた。アイヴィ・リッジウェイもそんな中の一人であった。

 ところがある日、最近近隣に一人で引っ越してきた独身女性マドレイン・クランミアに会ったことによりビクリー博士の心は一変してしまう。マドレインと妻とは語ることのできなかった芸術の話しなどをすることにより、ビクリーにとってマドレインがかけがえのないものへとなってゆく。マドレインがビクリーの愛を受け入れ始めたとき、ビクリーはジュリアとの離婚を決意し、ジュリアに申し出る。一旦はビクリーに対して愛を抱いていないジュリアもその提案を受け入れたかに見えた。しかし、ジュリアはマドレインと会い話したことにより、マドレインが性悪女であると見抜きこの離婚は承諾できないといいはじめた。そのことによって頭にきたビクリーはジュリアの殺害を計画する。

 ビクリーは昔、手に入れた頭痛の副作用を起こす薬を少しずつジュリアに与え始めた。そしてその頭痛を癒すために彼女にモルヒネを投与し始めた。その毎日が続き、ジュリアは次第に起きあがるのもおっくうになってくる。他の医者などに見せても原因不明で彼女の頭痛は治らないかのように見えた。そして次第にモルヒネの量は増す一方であった。ビクリーはその状態を利用し、親戚達に彼女を麻薬中毒であるかのように見せかけた。そしてある日モルヒネを過剰投与して彼女を死に至らしめる。折りしもその彼女がなくなるときビクリーはマドレインから振られるのであった。彼女が大地主の一人息子と仲むつまじくなったために。

 ジュリアの死は彼女の手による麻薬中毒による死亡ということでかたずけられた。しかしある日街の人たちの話題にのぼったとき、かつてのビクリーの愛人であったアイヴィと結婚した弁護士のチャトフォードの耳に、アイヴィとビクリーのよからぬ噂と共にビクリーの疑惑の話しを聞くことに。怒ったチャトフォードはむきになり、ビクリーの疑惑を確かめようとする。

 ビクリーはその話しをアイヴィから聞くことに。ビクリーは腹を立て、ジュリアの件で気を良くしたため、今度はチャトフォードを殺害しようと企てる。最近他の村で起こった腸詰菌による食中毒に仕立てて殺害しようと計画をねる。ビクリーはチャトフォードとついでにマドレイン夫妻もを食事に招待し、自分で培養した腸詰菌をそっと食事にまぜ彼らに食べさせる。そしてあくる日彼らは体調不良を訴えることに。マドレインは幸い軽い食中毒ですんだが、チャトフォードは重症になる。ビクリーはチャトフォードの主治医に取り入り自分に彼を見させて欲しいと願い出る。そしてチャトフォードの息の根を止めようと。

 そしてビクリーはジュリアとチャトフォードに対する殺害容疑で検察から訴えられることに。舞台は法廷へと移る。




内容・感想へ戻る