不可能犯罪捜査課 カー短編全集1
The Department of Queer Complaints 1940
「新・透明人間」
ある男性から通報があった。窓から見える正面のマンションに住む夫婦の部屋で殺人事件が起きたのを目撃したというのだ。なぜかその部屋に見知らぬ老人がいて、部屋を物色していた。すると、老人がテーブルの上に置いた手袋が拳銃を持って勝手に持ち上がり、その手袋によって老人が撃ち殺されたというのだと!? あわててその部屋を訪れると、住人の夫婦が出て来て、別に何も起きてないと・・・・・・。いったい何が起きたというのか??
「空中の足跡」
ある夫人が殺された。容疑者は雪の上に往復の足跡がついていた靴の持主の女性。さらにその女性は元々夢遊病の気あって、自分がやっていないと確信できない。その女性の靴は小さいもので誰でもはけるというものではない。さらには、塀に足跡のようなものが一つ。この犯罪は如何なるものなのか?
「ホット・マネー」
町で起きた銀行強盗。犯人は捕まったものの現金の行方はわからず。そんなときある屋敷で秘書の女性が主人の部屋で盗まれたものと思われる現金を目撃することに。主人に部屋から追い出された秘書はすぐに警察に連絡を。ただちに飛んできた警察は部屋に押し入ったものの現金は消えうせていた。秘書が部屋を見張っていたはずなのに、たちどころに消えうせてしまった現金の行方は?
「楽屋の死」
不穏な噂のあるナイト・クラブを警官たちがはっていたとき、ひとりの警官が不審な行動をとる女を追っていく。女は、今までステージで踊っていたダンサーの部屋へ行くのだが、そこで警官が見たのは、ダンサーの女の死体であった。怪しげな女の行動の真意は? そしてダンサーはどのようにして殺害されたのか!?
「銀色のカーテン」
カジノでとある男に買収され、男から指定した時間に会おうと告げられた。その場所へと向かう途中、前方には依頼をしたはずの男が歩いていた。指定する男の家の側まで来たとき、突然前を歩いていた男が崩れ落ちた。近寄ってみると首の後ろに短剣がささっていた。自分が男の後ろを歩いていたはずなのに、いったい誰が? どのようにして??
「暁の出来事」
皆が見ている前で、岩の上で一人の男が崩れ落ちた。自然死なのだろうか? 死因を調べてもらおうと警察を呼んだところ、放置しておいた死体は海に流されたと見え、消えうせてしまった。この事件の裏に隠されたものとは?
「もう一人の絞刑吏」
死刑囚とその死刑執行人による、とある物語、あるいは完全犯罪!? 皆に憎まれている男の死刑が実行されようというさなか、真犯人が捕まり、死刑執行停止の命令が! そのとき・・・・・・
「二つの死」
働きすぎて過労で倒れた実業家が、弟の勧めにより休暇をとり、旅行に出かけることとした。しかし、船に乗り込もうとしたときから、おかしなことが実業家の身辺に起こり始めた。自分が行なったはずのないことを行なっていたことになっていたりと・・・・・・。そして男は旅の途中で、新聞により自分が自殺したと報じられているのを目にして・・・・・・
「目に見えぬ凶器」
とある小部屋に出るとされる幽霊の噂。その小部屋では昔、殺人事件が起こっていた。令嬢とその令嬢を巡る二人の男、その三人が部屋に入ったのち、一人の男が惨殺体として発見される。体中をなんらかの凶器によって刺されたとみられるのだが、残りの二人は凶器を所持しておらず、部屋からも何も発見されなかったのである! 見えない凶器の正体は!?
「めくら頭巾」
ある屋敷の主人が出かけていた夜。友人達がその屋敷を通りかかったとき、明かりがついているのを見て、もしや泥棒では? と思い近づいてみると、どうやら早めに主人が帰ってきていて夫人と共にいるのを確認した。ちらっと見ただけで彼らは引き返したのだが、どうやら後から考えるとそれは屋敷の主人ではなかったようであった。次の日の朝、屋敷の夫人が死んでいるのが発見された。しかも焼かれたうえに、喉笛を掻き切られて・・・・・・
内容・感想へ戻る