妖魔の森の家   カー短編全集2

The House in Goblin Wood

「妖魔の森の家」 (The House in Goblin Wood 1947)
 H・M卿は二人の男女から依頼を持ちかけられる。20年前に起きた有名な失踪事件の謎を解いて欲しいのだと。二十年前にある森に建つ、閉ざされた一軒家から少女が失踪し、一週間後に突然部屋の中に舞い戻ってきたというのだ。
 そして二十年後、その少女はいまでも生きており、H・M卿らの前で閉ざされた家の中からまた消失してしまう。H・M卿でさえも怯えさせる事件の結末とはいったい!?

「軽率だった夜盗」 (The Incaoutious Burglar 1947)
 山荘の主人は莫大な値打ちの名画を所蔵しているのだが、そえを保険もかけずに、階下の庭に面した部屋にかけている。さらには警報装置も残らず取り除いたというのだ。しかし主人は密かに客の中に警官を張り込ませておいた。
 そんな夜半に騒ぎが起き、皆が駆けつけてみると盗賊が殺されていた。黒装束をまとっている夜盗の正体を見届けてみると、なんとこの屋敷の主人であった! 警察はこの事件をギディオン・フェル博士に依頼することに・・・・・・

「ある密室」 (The Locked Room 1943)
 ある書籍収集家が自分の部屋で暴漢に襲われ、頭を強打された。隣室には秘書と図書係がいて、被害者の呻き声を聞きつけ、扉を破って入ったというのだ。外から誰か入りこんだ形跡は見当たらないし、二つの窓は外から開かない。容疑は当然、秘書と図書係にかかるのだが、生きていた被害者によって彼らの証言が事実であるということがわかる。では、犯人はいったい? フェル博士が密室の謎に挑む。

「赤いカツラのてがかり」 (The Clue of the Rde Wig 1948)
 寒さの厳しい十二月の夜に裸同然の死体となって発見されたのは、新聞誌上の記事による健康体操で有名なヘイゼル・ローリング。この事件をライバル会社の破天荒なフランス人女性記者ジャックリーヌ・デュボアが担当することになる。ジャックリーヌはCIDのアダム・ベル警部を直撃取材し・・・・・・

「第三の銃弾」 (The Third Bullet 1947)
 チャールズ・モートレイク判事により刑の宣告を受けたガブリエル・ホワイトは、刑期を終えた後、判事邸に押し入ってその元判事を射殺するという事件が起きた。判事の末娘から警告を受けていたペイジ警部は、ホワイトの姿を認めながら、ほんの少しばかりの差で部屋に入れず、銃声を聞くことに。部屋に飛び込んでみるとすでに判事は倒れており、一発はその心臓に、他の一発は壁にめり込んでいる。しかも部屋にはホワイトと被害者だけしかいないのだから、当然ホワイトが犯人として捕らえられる。
 しかし、ホワイトの持っていたピストルからは一発しか発射されていなかった。ホワイトは銃を一発撃ったことは認めたが、二発目は銃声を聞いただけで何も知らないといい、第二のピストルは犯行現場の部屋の花瓶の中から発見された。ところがほぼ密室と言っていいような状態の部屋で、ホワイトの他に誰もいなければ機械的発射装置もないという状況にもかかわらず、被害者を撃った弾丸は第三のピストルから発射されていたのだ。マーキス大佐が解き明かす真相とは!?



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