最後から二番めの真実


 氷川は大学時代の先輩であり、現大学の文学部哲学科で講師をしている住吉昌喜に呼ばれ、聖習院女子大学を訪れることに。住吉は同学科の助手である反町と話をしていたところであったが、そこに氷川も加わり話をすることに。

 そこに女子大生三人も突然訪れることになる。英米文学科の小杉奈保子が突然、哲学科の大倉早苗に哲学科講師の住吉に紹介してもらいたいと言い出したからである。そして早苗の後輩の英米文学科の祐天寺美帆も引き連れて三人で住吉の研究室へと訪れることになったのである。

 住吉はその席で氷川に推理小説におけるゲーデル問題について説明してもらいたいと頼み、氷川は五人を前にして講義をすることとなるのであった。


 氷川が話し終わった後、小杉は住吉と二人きりで話があると言い出す。反町は自分の用事があると退出し、他の三人は、住吉が小杉の話の後に皆で飲みに行こうということになり、その部屋で待つことに。

 住吉が小杉を連れて第一セミナー室に入ろうとしたとき、英米文学科の講師の高島員子に呼び止められる。住吉は小杉に先にセミナー室に入っててもらい、その部屋の前で高島と話をすることに。彼らが話していると、そこに警備員がやってきて、第一セミナー室に保安上の問題が生じたと言い、部屋の中へと入っていく。住吉と高島は場所を移し、第三セミナー室へと入り話を続ける。するとそのとき突然、悲鳴が聞こえた!

 ちょうどそのときトイレから戻ってきた氷川と美帆、住吉の研究室から出てきた早苗が顔を合わせ現場へと向かうことに。声がしたのは第一セミナー室と検討をつけ、部屋に入ってみると呆然としている住吉と高島の姿があった。彼らが指差すほうを見ると、そこには警備員の刺殺死体が!!


 彼らがわれに返り110番通報することを考え始めたとき、パトカーのサイレンの音が聞こえてきたのだった。すでに誰かが通報したのかと思ったのだが、パトカーは建物の前に来はしたが、部屋の中にはなかなか入ってこない。不思議に思い守衛所に連絡すると、なんとこの校舎の壁に逆さまに女性の死体がぶら下がっているのだというのだ。そして後に彼らはその死体が小杉奈保子のものだということを知る。


 そして、捜査が開始されることになるのだが、ここでセキュリティシステムによって奇妙な状況がもたらされることに。まず、この建物の入り口には24時間体制の監視カメラがあり、出入りするものの姿をチェックしているという。また、この建物全体のドアの開閉の回数もチェックしているのだというのだ。

 その結果、監視カメラにより不審な者の出入りはなく、建物に残っていたのは氷川、住吉、大倉早苗、祐天寺美帆、高島員子、哲学科の教授、文学科に残っていた四人(これは除外)、セキュリティ管理室の警備員、殺された警備員、殺された小杉奈保子の13人のみが確認されている。

 さらに、第一セミナー室の部屋の開閉回数は午後5時以降で警察が踏み込むまで4回ということが確認された。(住吉の部屋での氷川の話が終わったのが午後6時近く)第一セミナー室の部屋の開閉の1回目は小杉奈保子が入ったとき、2回目は警備員が入ったとき、4回目は死体を発見したときだと思われる。4回目のときは部屋の扉が開きっぱなしになり、かなり長時間扉が開いていたことから断定できる。この状況でいくと、3回目の開閉のときに何者かの出入りがあったかと思われる。しかし、3回目の開閉の時間はわずか5秒ぐらいであるという。

 小杉奈保子が警備員を殺して3回目の開閉時に逃げ去ったというのは不可能。それは3回目の開閉が午後6時55分で、小杉の死体を見てタクシーの運転手から通報があったのは午後6時50分。わずか1分の間で、小杉を殺し、屋上から吊るすことはできない。


 さて、この犯罪はいったいどのようにして行われたのか? そしていったい誰が?

 論理的な推理を持って、女子大生と氷川が推理合戦を繰り広げる。そしてゲーデル問題が言及されて・・・・・・



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