空飛ぶ馬


「織部の霊」
 <私>は近世文学概論の加茂先生から、かつて彼の教え子であり、現在落語家をしている春桜亭円紫との会談に参加しないかと持ちかけられる。円紫のファンであった<私>は喜んで引き受けることに。その日の寄席で円紫は<私>の希望により、『夢の酒』を披露する。なごやかな会談の後、ふと加茂先生が夢に関する昔の奇妙な体験を話す。
 彼が子供の頃、伯父の家にとまったとき、烏帽子に素襖といった格好の男の夢を見た。しかもその男は夢の中で割腹をしていたという。そのあまりに鮮明な夢を忘れることができずにいた次の日、伯父から倉にある書画骨董等を見せてもらったとき、伯父が広げた巻物から夢に出てきた男が現れたのであった。伯父に聞くと、その人物は古田織部という人らしい。この巻物はずっと倉にしまわれていて、加茂少年の目に触れたはずがなかったのに・・・・・・。なぜ彼は奇妙な夢を見たのか?
 その席で一緒に話を聞いていた円紫さんは「結論ははっきしりていると思います」と・・・・・・


「砂糖合戦」
 <私>は偶然、町で円紫と出会い、喫茶店で話をする。八月に円紫の東北・蔵王温泉での独演会をやるのでと、券を渡される。<私>は円紫と話をしながらも、奇妙な三人組の女の子たちの様子に気をとられていた。円紫にそのことを指摘され、<私>はそのことを話し始める。
「<砂糖合戦>はなぜはじまったのか?」 彼女達は砂糖壺から砂糖を取り順番にカップに入れ始める。しかもその量が普通ではなく、それを7〜8回も繰り返したのだ。いくら甘党でもこれはおかしいと、気をとられていたのだった。円紫さんはそれを聞いて、彼女達の一人の後ろ向きに座っている、ポニーテールの女の子の後をつけてくださいといわれる。さて、<砂糖合戦>の結末とは?


「胡桃の中の鳥」
 円紫に誘われた、独演会を見に、<私>は東北へと足を伸ばす。連れは“しょうちゃん”こと、高岡正子。そしてこちらに実家がある江美と合流することになった。
 旅館でひとなつっこい2、3歳ぐらいの女の子、ゆきちゃんと仲良くなったり、美人の仲居さんと話したりもしながら、観光を楽しむ二人。そして夜は、江美と合流して円紫さんの独演会を見に行った。その後は、三人で旅館に泊まり、旅を満喫する。ただ、旅館を出発して、江美の車に乗り込むときに、旅館の男の人が、あれ、という顔をしていたのが気になったのだが・・・・・・
 <私>と正ちゃんは山を歩くことにし、江美ちゃんが車で先回りすることになった。すると山の途中、円紫さんと会い、話をする。そして、円紫さんと分かれ、江美と合流すると、江美の車からシートカバーだけが盗まれていたのだった。<私>は円紫さんを連れ戻し、この話をしてみると・・・・・・


「赤頭巾」
 歯医者にいった<私>は隣り合わせた夫人から“赤頭巾”の噂を聞く。<私>も知っている、公園の近くに住む女性。その人、森永さんは離婚した後、子供を連れてこちらに戻ってきたという。夫人は森永さんとかつて知り合いで最近また付き合い始めたという。そして森永さん宅におじゃましたときに、森永さんから「ここから見える公園のキリンの所に、日曜の夜9時に赤い服を着た女の子が必ず現れる」と聞いたという。そしてその日にその夫人は本当にその“赤頭巾”を見たのだった。
 <私>はさっそくその話を円紫さんにしてみると、円紫さんは「赤頭巾は三人いるんじゃないでしょうか」と・・・・・・。森永さんが描いている絵本にヒントがあるのでは?ということで調べる<私>。さて、円紫さんが言った、その意味とは?


「空飛ぶ馬」
 <私>は酒屋の《かど屋》の若主人(40ぐらいだが)の国雄さんが電車で女性と一緒にいるのを見かける。<私>はその雰囲気から国雄さんはその女性と結婚するのではないかと想像した。
 <私>は親に頼まれて、知人の娘(幼稚園)の学芸会の写真をとることになり、学芸会へとおもむく。その学芸会の後に、サンタクロースと称して、サンタクロースに扮装した、国雄さんが現れる。彼は毎年、幼稚園でサンタクロースの役をしているのだという。そして今年はプレゼントとして、《かど屋》においてある“木馬”をプレゼントするということで運んできたのだった。
 その後、<私>は奇妙な噂を聞いた。幼稚園にプレゼントされた木馬が、その日消えたのだという。しかし次の日にはちゃんと戻ってきたのだと。しかしながらそれを目撃したのが一人だけだったので、単なる見間違いということにされてしまったのだが・・・・・・。さて消えた木馬の謎とは?





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