転・送・密・室


「現場有在証明」  (1999年5月号:小説現代増刊メフィスト)
 保科匡緒の原稿完成パーティを祝して集まる神麻嗣子、能解匡緒、保科の元妻・聡子。その席で嗣子がいまかかえている一つの事件について語る。
 今回の事件では、分身をつくる能力、“リモート・ダブル”の痕跡が検出されたという。最初の事件は主婦、車前(おおばこ)リミが自宅で刺殺された。彼女の夫、洋治の前妻、丹羽晴海が疑われたもののアリバイが証明される。そして次の事件は前の事件の近くのマンションで車前多恵子という女性が殺害される(前者とはまったくの他人)。多恵子は殺される直前に帰宅してきたところをマンションの住人に見られており、さらに彼女が部屋に入った後に慌てて飛び出してきた男が目撃されていた。その男、鴻田はすでに捕まっており、彼が問題の超能力者だということも分かっている。鴻田は多恵子殺しは認めているが、リミ殺しについては否定しているという。一見、多恵子を殺すつもりが、あやまってリミを殺してしまったという事件に見えるのだが・・・・・・


「転・送・密・室」  (1999年9月号:小説現代増刊メフィスト)
 主婦の使主(おみ)月子が自宅で殺害されているを発見された。調べるは能解匡緒。被害者の夫、唯夫が会社を無断欠勤しており、それを確かめに来た同僚によって発見されることになる。ただ、部屋には中にチェーンがかかっており、管理人でも部屋を開けることができず、警察の手によって窓がこじ開けられ、タンスのなかから月子の遺体が発見される。聞き込みによると、被害者の夫というのは妻に虐げられていることが被害者の夫の同僚の女性、鎮(しずめ)源子から明かされる。被害者はこの近くに住む、愛人と付き合っているのだという。さらには源子は昨晩この部屋で唯夫と会っていたというのだ。結局は唯夫が我慢できなくなり、月子を殺害したのではないかという線が濃厚になるが、その唯夫はいったいどのように部屋を出て、どこにいったというのか?
 さらに神麻嗣子によってその部屋から、時間を飛び越える能力“タイムイレイザー”が検出されたことを知る。この事件の隠された真相とは一体??


「幻視路」  (2000年1月号:小説現代増刊メフィスト)
 遅塚聡子は昔つきあっていた男、御土田(みとだ)から留守番を頼まれる。とかいいつつその部屋はいっさい使用した痕跡はなく、怪しいものを感じるのだが、面白そうなので、つい引き受けてしまう。留守番をしながらも聡子は御土田になにがあったのか興味がわき、昔のクラスメイト達に電話をかけて調べることに。すると、御土田は結婚したものの、会社の女性と不倫をしたことにより会社を辞めるはめに。そのことによって結局は離婚することになったという。さらには御土田は離婚した妻から逃れるために家を転々としていうのだと。
 そしてある日、聡子はこの部屋を訪ねてきた女性に襲われることに!!


「神余響子的憂鬱」  (2000年5月号:小説現代増刊メフィスト)
『超能力者問題秘密対策委員会』日本支部。そこの職員である神余響子はひとつの問題を抱えていた。彼女の警察内部の協力者(スキナー)の伊香(いかご)正治が殺害されたのだ。パートナーとしての関係はうまくいっていて、彼の母親の前で恋人のふりをしてくれとか、極度のマザコンであることをのぞけばそこそこいい人物ではあった。
 しかし神余響子が気にしていたのは、伊香に頼まれて簡易超能力実践キット(カンチョウキ)数回貸したことであった。たいしたことには使用していないはずなのだが、彼が殺されたことに関係あるのではと悩んでいるとき、神余はこの事件を神麻嗣子と組んで真相解明にあたることになったのだが・・・・・・
 いままで謎につつまれていた、「チョーモンイン」の実体が少し明らかになる。神麻嗣子の上司(チーフ)コンスタンツェも登場!


「<擬態>密室」  (2000年9月号:小説現代増刊メフィスト)
 保科匡緒の元に増刷の報せがあったものの、喜ぶのも束の間、担当の編集者が変わることになった。新しく配属されたのは独自のイントネーションを持つ、阿呆梨稀(あぼうりき)という女性。彼女は妙な雰囲気を持っていて、保科はあたかも白昼夢を見せられたような雰囲気におちいっていた。その事が気になり神麻嗣子に相談をしてみたものの・・・・・・
 まぁそれはさておき、増刷の記念として保科匡緒と能解匡緒がレストランで食事しているとき、能解は部下の百百太郎(苗字がもも)が見合いしているを発見する。保科と能解は食事をとった後、レストランを後にすると嗣子から電話で呼び出されることに。とあるマンションへと向かうと、そこでは交通事故により怪我をした男が担架で運ばれて行くところだった。マンションにあがっていき、呼ばれた部屋へと向かうと、表札には内空閑(うちこが)と。これは百百太郎と見合いをしていた娘(副総監の親戚の娘)の家であった。なかに入ると、すでに来ていた神麻嗣子、神余響子、百百太郎と内空閑冬美の死体が待ち受けていた。神麻嗣子は保科らがいたレストランで、“Dツール(変装能力)”が発揮されたのを感知して、それをたどりここにやって来たのだという。さらに現場には百百太郎がいて、彼が冬美を殺害したとしか思いない状況だったというのだ! 百百が犯人なのか? そして超能力を使ったのは誰??


「神麻嗣子的日常」  (書き下ろし)
 神麻嗣子は<チョーモンイン>の試験に七回落ち、とうとう見放されることに。そして保科に別れを告げた後、彼女の前に現れたのは阿呆梨稀であった。そして・・・・・・



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