御手洗潔のダンス


「山高帽のイカロス」 (1989年1月号 EQ 鳥人間事件:改題)
 御手洗の元に湯浅真という青年が依頼に来た。知人の画家が二日前から行方不明だという。その画家は、人間は空を飛べる生き物だと日々主張し、消えた当日に4階にあるアトリエから奇声を残して忽然と消え失せたという。
 御手洗はその日のうちに、画家の別居中のデザイナーの妻に会いに行くがけんもほろろに追い返される。(石岡君、もっとにこやかに、スマイル、スマイル)翌朝大事件が彼らを待っていた。画家は自分のアトリエ付近の電線に腹ばいになって引っ掛かっており、その妻は精神に異常をきたした状態で近くの公園をさまよっていた。さらに付近を走る電車が人間の右腕のみをひきずって走行しているのを発見された。
 これらの事件を解く鍵は? はたして人間はほんとうに空をとべるのか?


「ある騎士の物語」 (1989年7・9月号 小説宝石)
 石岡が知人の秋元静香の結婚式に出席し、そこで聞いた15年前の事件の話。
 秋元静香は当時つきあっていた男性・藤堂次郎に裏切られ、間接的に弟を死に追いやってしまう。そのとき藤堂といっしょにクイックタイムサービスという配送の会社をしていた四人の男性に静香は相談し、藤堂に復讐すると、拳銃をみせる。四人はなんとか静かを思いとどませるが、ちょうど同じ時刻に藤堂は拳銃で撃たれて死んでいた。そして後から静香の拳銃を見ると弾が3発なくなっていたのだった。


「舞踏病」 (1990年1・3月号 EQ 塔の幻想:改題)
 主婦のものまねをしておどける御手洗の元に一人の依頼人がやってきた。
 依頼人は浅草で代々食堂をしているという陣内巌。依頼内容は彼の家に居候している老人の由利井源達が夜になると気が狂ったように踊りだすという。その老人は近所のバーのマスターである息子が、3週間ばかりおたくの2階に住ませてくれと、頼みに来たという。息子は連日様子を見に友人と一緒にやってくるのであるが、そのときの格好が、かすりの着物を着て、鳥打帽しを被り唐草模様の風呂敷包みを持ち、丸眼鏡をかけている、といった様相。そして彼らは「おい源、例のものはどこだ」などと源達に問いただしているという。
 御手洗たちが現場へ行ってみると、すでに源達は息子に引き取られた後だった。御手洗たちが由利井の家に行ってみると、そこには奇怪な踊りを踊る源達が!
 石岡が情報を求めに警察へ行くと、警察は一つの事件を抱えており、交差点に歯医者である老医師の死体が遺棄されていたという。
 御手洗はこの事件に源達の舞踏病の事件との関連性を見出す。大正十一年の地図に秘められた謎とは??


「近況報告」 (書き下ろし)




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