山手の幽霊


 平成2年、1990年4月。丹下警部によってある不思議な事件の話が御手洗の元にもたらされた。

 乾義雄という男が山手の山手トンネルの上に住宅を建て、しかもその家の地下に核シェルターを添えつけた。しかし乾は四年後癌で亡くなる。そしてその家は乾の希望により、乾の先輩である大岡修平が買い取ることに。そして三人家族の大岡一家がこの家に住み始めると娘がALSという筋肉が麻痺して動けなくなる難病にかかってしまう。そして一年間の闘病生活の後、なぜか彼女は自殺してしまう。後を追うように大岡の妻も自殺、そして大岡自身は呆然喪失して仕事をやめ、核シェルターのなかで過ごしつづける。しかしあるとき、大岡は娘の彼氏であった正木幸一という医学生に格安で譲ることに・・・・・・

 そしてその後正木がその家に住み始めるが、正木はシェルターに続く扉を封印してしまう。正木が家で暮らす中、ある日家に妙な匂いがし始める。原因を調べ核シェルターへ続くドアを開放してみると、そこには餓死した大岡の死体があったのだ!!

 また、夫は電車の運転手をしているという婦人が御手洗の元に別の妙な話をもちこんで来た。その婦人の夫は仕事中に幽霊をみたせいで神経をやられてしまっているという。

 根岸線の運転手内海はその日終電を運転していた。電車が山手駅を発車してしばらくたった後、線路に一人の男が立っていたという。内海はあわてて電車を止め男を轢かずにすんだ。そして男はあわてて逃げ出していった。その後内海は電車を発進させ、ゆっくり運転していると、山手トンネルが近づいたとき、トンネルの中が明るく光りだした。(他には誰も見ていなかったという)内海は注意深くトンネルの中へと電車を進めていくと、電車のフロントガラスに突然、女性が逆さに貼りついてきたという。内海は驚き、電車を止めて、何事かと最後部にいた車掌と電車の周り、下、上と調べていくが不審な点は見つからなかった。内海は昔、子供を電車の事故で亡くしており、そのたたりだと恐れ、仕事ができない状態になってしまった。

 その後警察の調べによって、正木の背景が明かされた。正木は発病前の大岡の娘・宏美と付き合っており、発病後も彼女との交際を続けていた。そして正木が彼女の病気を治すために医大に行くといい、さらに正木の家の資産では医大に行く金がないので大岡に援助してもらいたいと言い出した。娘にも後押しされ、大岡は正木の学費を捻出することに。しかしその後正木は大岡家とは疎遠になり、他の女性と婚約をしたという話が大岡家にもたらされた。絶望した宏美は生命を維持する機械を止めて自殺を図ったということであった。

 また、内海の話と警察の調べによって内海の電車のフロントに貼りついた女性は宏美であるということが・・・・・・



 御手洗、石岡、内海夫妻、丹下警部は最後の調べという御手洗の言に乗って、山手トンネルを調べに行く。その調査中、丹下のもとに正木が銃で撃たれて犯人は逃走中だと・・・・・・






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