名探偵の条件    その1
名探偵と知名度




 推理小説を読んでいるとこういった記述にでくわすことがままある。“名探偵である何々は・・・”“彼は名探偵であり云々”などと。推理小説であればあたりまえの記述であるのだが、場合によっては気になることもある。



「こいつ本当に名探偵なのか・・・」




 大きなお世話だといわれそうである。とはいうものの、名探偵であるとか、もしくは天才であるとかいうものは少なくとも自分から名乗るものではないだろう。それをあえてパロディにした小説であればよいのだが、あまり真面目に“名探偵XX”などと名乗られてしまうと引いてしまいがちになる。

 では、“名探偵”たる条件とは何か? 逆にいえば“名探偵”と名乗ってもおかしくない探偵たちはどのような条件を満たしているのだろうか。それをここで考えてみたい。



***




 まずは古今東西、一般的な見地から“名探偵”を述べるとすればこの二人



明智小五郎   金田一耕介



 ずばりこの二人がビッグネームである。異論多論もあろうと思う。他の人に聞いてみればいろいろな名探偵の名前が出てくると思うのだが、一般的な知名度で考えてみるとこの二人といってよいだろう。推理小説をある程度読んでいる人であれば“御手洗潔”という名前も出てくるかもしれない。しかし、世間一般的に“御手洗潔”の名前を知っている人はどのくらいいるであろうか。まずは自分の両親、学校の友達、もしくは会社の同僚に聞いてみよう。結構知られていないはずだ。




 予断ではあるが、誰かに推理小説の祖であるエドガー・アラン・ポーの話をしようと思うと、江戸川乱歩と混同され、実はそれは乱歩の名前がポーの名前から・・・・云々。という説明を繰り返す羽目に陥るたびに推理小説って意外と読まれていないのかなぁなどと感じてしまう。さらにいえば自分が都会の中で“推理小説マニアの孤島”にポツンと立っていたということに気づかされる羽目になる。




 話がそれてしまったが、そんなわけで知名度という観点からいけば、明智小五郎金田一耕介が頂点に立つ。

では何ゆえにこの二人の知名度は高いのだろうか?





それはTV(映画も含めて)の影響であろう。






 もちろん本もでている。特に明智小五郎についてはポプラ社の少年向け江戸川乱歩全集の存在は大きい。さらには子供もとっつきやすい怪人二十面相という存在も強い。また、最近TVではやらなかくなったが、昔の土曜ワイド劇場の天知茂の明智小五郎を見た人も多いのではないのだろうか。
 金田一耕介においてもやはり映画やTVの存在が大きい。しかも金田一を演じる俳優がまたビッグネームである。古谷一行から豊川悦司(しまった他にあまり知らない)までさまざまな俳優が演じている。そして「金田一少年の事件簿」によってその祖父の名前はさらに語り継がれることになるであろう。


 といった具合に関係のない話を含めて長くなってしまったが、要するに言いたいことは名探偵には“知名度”というものが必要ではないだろうか!!
 誰も知らないのに、「わたくし名探偵です」といわれても寒い! いやむしろ怖い!!
 そこに金田一先生が出てくれば、こちらから「名探偵の金田一先生ではないですか」という言葉が素直(?)に出てくるであろう。




















TVの力って大きい





 こんなことが言いたかったのではないのだが、これも一つの要素ということで挙げさせてもらった。しかしながらこれを教訓に我々は自覚しなければならない。







 本格ミステリ愛好者には不屈の星である“御手洗潔”よりもTVに出ている2時間ドラマの探偵のほうが一般的には“名探偵”といえないことはないと(泣)。



















 ここで強引に結論を一つ


一、名探偵と名乗るからには知名度が必要である

(ちなみに検索エンジンで“名探偵”で検索すると“名探偵コナン”がダントツである)




続きはその2







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