ミステリー・プロレスリング

<その1>




新本格(新日本)プロレスリング


島田 荘司(=アントニオ猪木)
 何と言っても本格発祥はこの男。この男を語らずしてミステリーは語れず。この男を抜きにして本格は語れず。
 実際に、VSモハメッド・アリ(=「占星術殺人事件」)、VSストロング小林(=「異邦の騎士」)、
VSスタン・ハンセン(=「斜め屋敷の犯罪」)、VSタイガー・ジェット・シン(=「眩暈」)、
VSブルーザー・ブロディ(=「アトポス」)と名勝負は数知れず。

 さらにはプロレス以外での活動も“イラク人質解放”(=免罪ルポ)、“ロシア人レスラー軍団”(=同人誌の人々)、
“UFO設立”(=季刊島田荘司)、“猪木祭り”(=21世紀本格)などと八面六臂の大活躍。

 たとえ何が起ころうとも困ったときは得意の“延髄切り”(=御手洗シリーズ)にて敵をバッタバッタとなぎ倒す。
 この男に不可能の文字はない。さぁ、今年こそ“打倒紅白”(=島田荘司全集)だ! 1・2・3・ダァーー!!





竹本 健治(=坂口征二)
 本格の屋台骨を支え続けたこの男。地味な活動ながらも一人寡黙にプロレス(=本格)を愛し、リングに立つ(=本格を書く)。
 そんな彼には“柔道王”(=「匣の中の失楽」)という華麗なる過去がそびえ立つ。
 あぁ、“世界の荒鷲”今いずこ。あの時の“ジャンピング・ニー・アタック”(=的場智久シリーズ)はもう見ることができないのか。





綾辻 行人(=藤波辰爾)
 猪木に続く者は誰だ? そう、猪木の次に名前が来るのは必ずやこの男のはず。炎の飛龍ここにあり。
 本格のリングにあがるや敵をバッタバッタとなぎ倒す。その技の名は“ドラゴン・スープレックス”(=館シリーズ)。
 しかしながらその技はあまりにも危険なために(=「黒猫館」が危険だったために)やむをえなく封印。

 たとえ、それでも彼の数々の華麗なる必殺技は留まるところを知らなかった。“ドラゴン・スクリュー”(=囁きシリーズ)、“ドラゴン・ロケット”(=殺人方程式)、“掟破りの逆ラリアート”(=殺人鬼シリーズ)。そしてさらなる力は“マッチョ・ドラゴン”(=どんどん橋)。
 しかしながらそんな飛龍も今は昔。彼はこの沈黙を打ち破ることができるのか。さぁ、見よ! 彼が立ち上がる姿を!!
 今年こそ、“ドラゴン・スープレックス”の封印(=「暗黒館」)が破られる・・・・ハズ。





我孫子 武丸(=木村健悟)
 皆が本格の道を突き進む中、一人己の道を歩む男。
 藤波とタッグチャンピオン(=速水兄弟シリーズ)は取ったものの己の人気は今ひとつ。あぁ、ボクシングトレーニング、はずしちまったのかなぁ。
 いかに人気が出なくとも彼には稲妻レッグラリアートがある。なんと言われようとも今日もレッグ・ラリアートで横に飛ぶ。
 たとえ相手の胸に当たろうとも(=「探偵映画」)、たとえ相手の足にしか当たらなくても(=腹話術シリーズ)、
 たとえ相手に当たらなくとも(=ディプロドンティア)、時にはちゃんと相手の首に当たること(=「殺戮にいたる病」)だってあるさ。
 明日は、足に鉄パイプ(=「腐食の街」)を入れて飛んでみようかなぁー。





折原 一(=木戸修)
 だれもが認めるいぶし銀。どんなに激しく揺さぶろうとも、乱れることのないあの髪形。
 そして、今日も脇固め(=叙述トリック)
 わかってるだろうけれども脇固め(=叙述トリック)
 相手(=読者)も知っているんだけれども脇固め(=叙述トリック)
 そして今日も脇固め(=叙述トリック)
 たとえマンネリに思えても、それでも誰もが期待してしまう。きっと明日も脇固め(=叙述トリック)
 本格ミステリ・マスターズに参戦するんだって。それでもやっぱり脇固め(=叙述トリック)





有栖川 有栖(=蝶野正洋)
 新本格の書き手たちが疲れ果てた今、時代を担うのはこいつしかいない。
 闘うことのできなくなった奴らをあざわらい、彼は己の力で打ち建てる。
 その名はTEAM2000(=本格ミステリ作家クラブ)。
 他の奴らが休んでいる間も彼は満身創痍の中一人戦い続ける。
ケンカキック!(=火村シリーズ)、ケンカキック!(=火村シリーズ短編)、ケンカキック!(=火村シリーズ)、
ケンカキック!(=火村シリーズ短編)、もひとつケンカキック!(=火村シリーズ)。
 しかしながら、ファンが本当に見たいのは、G1で勝利したあの日の栄光(=英都大学推研シリーズ)だということに彼は気づいているのだろうか。





北村 薫(=永田裕志)
 テクニシャンとは彼のこと。
 派手さはないけど、強い奴。いまや新本格の安定したエース。浮き沈みの激しい奴らとは格が違う。
 現在ではその技の多さもNo1。
  “ナガタロック”(=円紫シリーズ)にてその地位を獲得し、
  末永く愛される“バックドロップ・ホールド”(=覆面作家シリーズ)、
  もはや彼の代名詞“ナガタロックU”(=時の三部作)、
  さらには他の団体のエースの技“エクスプロイダー”(=盤上の敵)までもが今では彼の十八番。
 そして満をじして登場したのは“ナガタロックV”(=ベッキーさんシリーズ)。いやはや彼の快進撃はどこまで続くのか。





舞城 王太郎(=中西学)
 本格とはパワーだ。ミステリーとはパワーだ。小説とはパワーだ。とにかくパワーだ。
 相手をアルゼンチン(=奈津川家サーガ)で抱え上げる。無理な体勢からもアルゼンチン
 どんなでかい奴でもアルゼンチン。勝ち負けではなくアルゼンチン
 アルゼンチン(=奈津川家サーガ)、これこそが彼のプロレス、いや、暴力だ!!
 “スピアー”(=世界は密室)にて相手を蹴散らして、
 “マッケンロー”(=阿修羅ガール)にて相手をなぎ払う。
 そんな彼の立つべき所は熊の場所。もはや栄冠は目の前だ。手にするのはIWGP(=直木賞)かそれともまた別の・・・





柄刀 一(=西村修)
 地味という言葉をも、もはや通り越してしまった。そう、彼こそがミスター“無我”(=理系)。
 病からも立ち直り、見事リングの上で花開く。柔軟な体を武器にして、“コブラツイスト”(=天才龍之介)にて立ち向かう。
 そうして彼が行き着いた先こそが“ヨガ”(=「アリア系銀河鉄道」)。
 間違っている(=読みにくい)とはいわせない。これこそ彼の歩む道。
 何を考えているか分からない(=わかりにくい)などとはいわせない。これも彼の歩む道。
 多くのものが道を誤る中、己一人とレトロの道を突き進む。そう彼こそがミスター“無我”(=理系ミステリー)





貫井 徳郎(=飯塚高史)
 誰が呼ぶ! 彼を呼ぶ! そう彼こそ孤高の仕事人
 遅咲きの桜が今花開く。昔ながらのオーソドックスな闘いかた(=「慟哭」)が今ようやく認められることに。
 一旦、注目されれば問題ない。彼の闘いに人々は魅入られることまちがいなし。
 一撃必殺の“チョーク・スリーパー”(=症候群シリーズ)が世間をにぎわす。
 いまや数々のスポットライト(=プリズム)が君を照らしている。





佐藤 友哉(=村上和成)
「売れているのは君だ。テロリストは僕だ。」
 目立つ奴らはぶっ潰す。売れる奴らもぶっ潰す。人気のある奴らもぶっ潰す。
 それがリングの上だけとはかぎらない。どこまでも、どこまでも追いかける。
 見果てぬ夢を追いかけて、そんな彼は何処へ行く(=鏡家サーガも今何処)。
 自ら戦わないのか(書かないのか)、それとも戦わせてもらえないのか(売れなくて書かせてもらえないのか)。
 彼こそが平成のテロリスト。次に上がるリングはいったい何処(=文学か)?








森 博嗣(=高山善廣)   フリー参戦
 客を呼べる。人を呼べる。今や格闘技界の人気はこの男のもの。フリー参戦の身に関わらず、今やどこからもひっぱりだこ。
 この男こそプロレス界のエベレスト。稼ぐもエベレスト。
 この巨体から技が繰り広げられるものであれば、すべてが必殺技と化してしまう。
“エベレスト・ジャーマン”(=S&Mシリーズ)、“ニー・リフト”(=Vシリーズ)を筆頭に。
 さらにはただの“キック”(=WEB日記)でさえも超度級。
 インテリジェンスな頭脳を持った最大級の怪物はもはやリング(=ミステリ界)のみに抑えておくのは不可能だ!!
 NWF(=売れ筋一位)のベルトを彼から奪取できるものは、しばらく現れることはないだろう。





西澤 保彦(=藤田和之)   UFO参戦
 お前ら、プロレス(=本格)だけやってて最強といえるのか!!
 とうとうこいつがやって来た。鍛え上げられた体はゴリラ級。この男にはプロレス(=本格)の枠組みでさえも狭すぎる。
 そう、枠組みが狭すぎるのならば、自分で世界を構築(=SF的設定構築)してしまえばいいではないか!!

 本格プロレス(=匠千暁シリーズ)をやらせても超一流。
 総合格闘技(=チョーモンインシリーズ)でもその名をはせ、その外見に似合わない器用さには、見るもの(=読むもの)だれもが舌を巻く。
 闘魂伝承なんのその。奴はただただ、ひたすら己の道をひた走る。その道の激しさに時には怪我(=奈津子シリーズ)をしようとも。
 たとえ歩む(=「ファンタズム」)が非難されようとも。進むべき道はただひとつ。最強への道あるのみ。






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