2017年ベストミステリ




2017年国内ミステリBEST10へ     2017年海外ミステリBEST10へ



このランキングは2017年1月〜12月までの間に出版された本を対象としています。





総  評

 今年の国内ミステリであるが、個人的には面白いと思った「ブルーローズは眠らない」や「ifの悲劇」が、あまり一般受けしていないことが一番のショック。全体的に意外と面白い作品が出ていたような気がするが、結局のところ“すごく良い”というような作品は少なかったのかもしれない。

 また、結構ベテラン層の期待作品も多々刊行されたものの、やや期待外れの感が強かったことが残念。著者名とタイトルだけを聞いた時には、これはランキングのトップに来るな! と期待したものの、読んでみたらそれほどでも・・・・・・というようなものが結構見られたような。

 色々な作家が幅広く作品を出していることについては、うれしいかぎり。毎年のようにがんばっている作家や、たまに名前を聞く作家、久々に復活した作家など、色々な作家の作品を今年は読めたような気がする。さらには新人作家もどんどんと出てきてミステリ業界をにぎわせてくれている。そうしたなかで、光文社の登竜門が「Kappa Two」という形で復活してくれたのはうれしいところ。まだ1冊しか刊行されていないので、今後の動向に注目してゆきたい。ただ、それよりも光文社はカッパ・ノベルスのほうを活性化させるべきだと思えるのだが。

 ミステリ系のレーベルに関しては、今年はミステリ・フロンディアの作品が多く出たなと。なんと5月から9月まで連続で出版され、今年は全部で6作品が出ている。内容もそれぞれなかなかのものであったので、2018年も期待したいものである。ミステリー・リーグとメフィスト賞はそれぞれ2冊ずつであるが、メフィスト賞から2作出たということ自体が貴重なことなのかもしれない。また、河出文庫から古典ミステリを毎月復刊させてくれるようになったのも大きな出来事。


 海外ミステリ作品に関しては、今年は不調であったかなと。そうしたなか唯一気を吐いたといってもよいのは「13・67」であろう。これは他の海外作品が不調だから・・・・・・という理由にとどまらず、オールタイムベストに入るといっても良いくらいの出来。改めて、アジアンミステリが見直されるきっかけとなりそうな作品であった。

 その他、ディーヴァー、コナリー、ゴダード、カーリイなどといった作家は毎年のように高水準の作品を送ってくれるのでありがたい。それに追従するように北欧ミステリが多々出ているようなのだが、個人的はあまり追い切れていない。というか、北欧ミステリに関しては駄作も多くて、だんだん手を出しづらくなってきたような。そんなわけで、初めて聞く作家の作品に関しては年末のランキング待ちというスタンスになり、年末にハードな読書を強いられることとなっている。

 それと同様に海外全般の近代ミステリ作品についても良作を見つけにくい。それでも年々多くの作品が訳され、それなりに良いものも出てきているので、これもランキングなどを通して、良い作品を読んでゆきたい。自分の力でも当たり作品を見つけてゆきたいものだが、分厚い作品を何冊も、しかも外れが多いとくるので、なかなか自分で色々と試し読みするのは難しいところである。

 古典本格ミステリに関しては、もはや扱っているのが論創海外ミステリと東京創元社くらいか。たまに、ちくま文庫から出版されることがあるくらい。論創海外ミステリに関しては、当たり外れは激しいが、数打ちゃ当たるという感じで、読み続けていると何気に良い作品を見つけることがある。東京創元社については創元推理文庫で、いろいろと復刊してくれたり、または古典推理作家の未訳作品を刊行してくれているので、すごくありがたい。





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