Grand U-gnol   2008年国内ミステリBEST10


順位タイトル著 者出版社
1位山魔の如き嗤うもの三津田信三ミステリー・リーグ
2位狐火の家貴志祐介角川書店
3位犯罪ホロスコープT法月綸太郎カッパ・ノベルス
4位しらみつぶしの時計法月綸太郎祥伝社
5位聖女の救済東野圭吾文藝春秋
6位官能的鳥飼否宇ミステリー・リーグ
7位ラットマン道尾秀介光文社
8位エコール・ド・パリ殺人事件深水黎一郎講談社ノベルス
9位1/2の騎士初野晴講談社ノベルス
10位消滅島柄刀一ノン・ノベル

次点 「鬼蟻村マジック」二階堂黎人、「死写室」霞流一






第10位「消滅島」 柄刀一(祥伝社 ノン・ノベル)

 これは惜しい作品。前半の流れの悪さが作品全体の印象を悪くしてしまっている。しかし、そこを乗り越え、後半へ入ると、怒涛の推理に翻弄されることに。前半部分を差し引いても、これだけ評価できるのだから、これで全て完璧な書き方がなされていれば、どうなったことやら。あなどるなかれ、龍之介シリーズ。
内容・感想


第9位「1/2の騎士」 初野晴(講談社 講談社ノベルス)

 本格ミステリというわけではないのだが、サスペンス調のミステリと都市伝説とファンタジーが融合した、近代的なミステリとして成功している作品。独特の雰囲気、意外な展開、目を見張る物語に惹きこまれること必須。
内容・感想


第8位「エコール・ド・パリ殺人事件」 深水黎一郎(講談社 講談社ノベルス)

 今年2冊も芸術世界を背景に用いたミステリ作品を書き上げた深水氏。やや地味な作調ではあるものの、直球の本格ミステリ作品を描いてくれる作家として、2009年以降の活躍が楽しみである。今後の作品に期待を込め、この「エコール・ド・パリ」と「トスカの接吻」の2作は必ずや今のうちに読んでおいたほうがよい作品といえよう。
内容・感想


第7位「ラットマン」 道尾秀介(光文社 単行本)

 最近の道尾氏の作品は、ミステリ路線から、ややはずれ気味な気がするものの、作品としての完成度が高いのは確かである。この作品は“ラットマン”という主題をうまく生かしたミステリ小説として完成されている。人間の思い込みをうまく利用したミステリ作品。
内容・感想


第6位「官能的」 鳥飼否宇(原書房 ミステリー・リーグ)

 これぞ今年一番のバカミス作品。鳥飼氏の最凶、最悪のシリーズであり、もっともお下劣な作品といえよう。しかし、その低俗さにとらわれていると足をすくわれることになるので、油断することなかれ。
内容・感想


第5位「聖女の救済」 東野圭吾(文藝春秋 単行本)

 ミステリ界のみならず、すっかり一般的な人気となった“ガリレオ探偵”。その最新長編も高いレベルのクォリティを保った作品となっている。救済という名の元の完全犯罪。ガリレオこと、湯川が謎の毒殺事件に挑む。
内容・感想


第4位「しらみつぶしの時計」 法月綸太郎(祥伝社 単行本)

 法月氏のノン・シリーズ作品集。本格ミステリのみならず、さまざまな内容の作品がそろっている。その中でも本書のタイトルにある「しらみつぶしの時計」がなかなか奇抜で楽しませてくれる。いかにも法月氏らしいと思える、後ろ向きのロジック。ご堪能あれ。
内容・感想


第3位「犯罪ホロスコープT」 法月綸太郎(光文社 カッパ・ノベルス)

 このベスト10はひとりの作家の登場は1回でよいかなというくらいに思っているのだが、どちらの作品も面白かったので、結局この作品も並べて入れてしまった。最近では珍しいくらいのロジック重視(そうでもない作品もあるけど)の本格ミステリ作品集。ミステリファンであれば、必ず楽しむ事ができる1冊。
内容・感想


第2位「狐火の家」 貴志祐介(角川書店 単行本)

 さまざまな密室ミステリ作品は存在すれども、ここまで近代的な密室を描いているのは貴志氏くらいではないだろうか。「硝子のハンマー」に続いてのシリーズ作品であるが、今回は短編集での登場。どの作品も読み応えのある密室ミステリ短篇として仕上げられている。
内容・感想


第1位「山魔の如き嗤うもの」 三津田信三(原書房 ミステリー・リーグ)

 ここのところ毎年のようにミステリ界、そしてミステリ・ランキングをにぎわしてくれているのが、この三津田氏の刀城言耶シリーズ。毎年、年の始めに出ているせいか、年の後半になって印象が薄れ、ミステリランキングでトップになることはなかったが、今作はどうどうのトップ作品として君臨することとなった。今までの作品と比べると、ややインパクトに欠ける向きもあるものの、良質のミステリ作品であることは間違いない。2008年、一番の作品として自身を持ってお薦めしたい。
内容・感想







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