Grand U-gnol   2008年海外ミステリBEST10


順位タイトル著 者出版社
1位ナポレオンの剃刀の冒険エラリー・クイーン論創海外ミステリ
2位チャイルド44トム・ロブ・スミス新潮文庫
3位七番目の仮説ポール・アルテハヤカワミステリ
4位ケンブリッジ大学の殺人グリン・ダニエル扶桑社文庫
5位フロスト気質R・D・ウィングフィールド創元推理文庫
6位八一三号車室にてアーサー・ポージス論創海外ミステリ
7位ロジャー・マーガトロイドのしわざギルバート・アデアハヤカワミステリ
8位霧と雪マイケル・イネスヴィンテージ・
 ミステリ
9位道化の町ジェイムズ・パウエルKAWADE MYSTERY
10位殺人への扉エリザベス・デイリーGem Collection

次点 「ウォリス家の殺人」 D・M・ディヴァイン







第10位「殺人への扉」 エリザベス・デイリー(長崎出版 Gem Collction)

 地味な内容ながらも、どこかクリスティーをほうふつさせるような内容の作品。登場するキャラクターの人物造形もしっかりしており、数多くの作品が翻訳されれば、意外と人気がでるんじゃなかろうか。今後の翻訳作品に期待大。
内容・感想


第9位「道化の町」 ジェイムズ・パウエル(河出書房新社 KAWADE MYSTERY)

 ミステリ作品集とは言いがたいのだが、忌憚集として読み応えのある一冊に仕上げられている。特に表題の「道化の町」は他のアンソロジーでもとりあげられており、オールタイムベスト級の作品。
内容・感想


第8位「霧と雪」 マイケル・イネス(原書房 ヴィンテージ・ミステリ)

 イネスの作品も近年、多くの本が翻訳されてきたが、まだこのような傑作が残っているとは。個々に繰り広げられる推理合戦から、意外な結末まで推理小説として見所満載の作品。これを読めば、今後のイネスの未訳作品が翻訳されれば決して読み逃せなくなるであろう。
内容・感想


第7位「ロジャー・マーガトロイドのしわざ」 ギルバート・アデア(早川書房 ハヤカワ・ミステリ)

 これまた新たな掘り起こし作品かと思いきや、なんと2006年に書かれた作品とのこと。ポール・アルテ以外にもこんな本格テイストの作家がいたとは驚きである。タイトルの意味が明らかになれば、これはもうバカミスという気がしなくもないのだが、とにもかくにも今後もこういった作品を書き続けてくれることを祈るのみ。
内容・感想


第6位「八一三号車室にて」 アーサー・ポージス(論創社 論創海外ミステリ)

 今年も数多くの海外短編集が紹介されたが、そのなかで一番ミステリ集として出来が良かったのは、これだと思える。どれもがショートショートと言ってもよいほど短い作品なのだが、これでもかとばかりにミステリ作品を並べられてしまうと、ただただ感心するしかない。2009年以降も翻訳が待ち望まれる作家のひとりとなったことは間違いあるまい。
内容・感想


第5位「フロスト気質」 R・D・ウィングフィールド(東京創元社 創元推理文庫)

 フロスト警部が7年ぶりに帰ってきた。やっていることは、いつもいつも同じなのだが、読んでしまえばフロスト・ワールドに引き込まれること間違いなし。どんなに働いても報われることなく、疲労が残るのみではあるのだが、そんなフロスト警部を応援したくなる作品。
内容・感想


第4位「ケンブリッジ大学の殺人」 グリン・ダニエル(扶桑社 扶桑社文庫)

 地道な作品ではあるが、むしろその丁寧な検証に好感が持てる本格ミステリ作品。海外では本格ミステリは不遇の扱いを受けているようではあるが、掘り起こせば、このような作品がまだまだ眠っているはず。これこそ今年一番の掘り起こし作品。
内容・感想


第3位「七番目の仮説」 ポール・アルテ(早川書房 ハヤカワ・ミステリ)

 2008年も相変わらずアルテが上位に来る。これだけ濃密なミステリ作品を描いてくれれば、もはや問題のつけようがない。今作はトリック云々よりも、まるでコンゲームとでも言うような壮絶な騙し合いに引き込まれてしまった。そしてまた、タイトルも良い味を出していると思われる。
内容・感想


第2位「チャイルド44」 トム・ロブ・スミス(新潮社 新潮文庫)

 鬱屈した内容であるのに、ページをめくる手が止まらなくなる。大量殺人と社会主義の国家システムを描いた斬新な作品。このような社会がある、もしくはあったと想像はできるのだが、実際書かれたものを目の当たりにすると、また異なる感慨が頭に浮かんでくる。2008年、1番の衝撃の問題作。
内容・感想


第1位「ナポレオンの剃刀の冒険」 エラリー・クイーン(論創社 論創海外ミステリ)

 ラジオドラマ集、ということで簡単な犯人当てみたいなものを予想していたのだが、読んでびっくり、凝りに凝った伏線が張られた濃厚な本格ミステリ短編集と言っても過言ではない。第2集も出版予定とのことであるが、年内に出版されていれば間違いなく、このシリーズがランキングのトップに躍り出たことだろう・・・・・・と、勝手に思っている。2008年の一押し!
内容・感想









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