Grand U-gnol   2009年国内ミステリBEST10


順位タイトル著 者出版社
1位密室殺人ゲーム2.0歌野晶午講談社ノベルス
2位鬼の跫音道尾秀介角川書店
3位死蝶天国柄刀一講談社ノベルス
4位玻璃の家松本寛大講談社
5位追想五断章米澤穂信集英社
6位ここに死体を捨てないでください!東川篤哉光文社
7位武家屋敷の殺人小島正樹講談社ノベルス
8位密室の如き籠るもの三津田信三講談社ノベルス
9位さよならの次にくる似鳥鶏創元推理文庫
10位六つの手掛り乾くるみ双葉社






第10位「六つの手掛り」 乾くるみ(双葉社 単行本)

 地味とも微妙とも思われる部分は多いのだが、それでも論理的な本格ミステリを展開させるという意図できちんと書かれている。作品の中には、素直に“うまい”と感じさせるものも含まれており、佳作の短編集と言えるであろう。
内容・感想


第9位「さよならの次にくる <卒業式編><新学期編>」 似鳥鶏(東京創元社 創元推理文庫)

 こちらはライトノベルス系ではあるが、なかなか良くできていると思われた作品。連作短編集となっていて、最後まで読み通せば、作品全体の意味がつかめるという内容になっている。<卒業式編>と<新学期編>とで上下巻となっているので、続けて読んでもらいたい。
内容・感想


第8位「密室の如き籠るもの」 三津田信三(講談社 講談社ノベルス)

 今年の三津田氏は短編のみ(ぎりぎり12月に長編が出たのだが、そちらは未読)。この作品は短編集ゆえに小粒であると感じられたが、そのなかの中編といってもよい作品、タイトルとなっている「密室の如き籠るもの」はなかなかの内容。地味ながらも、やはりミステリを書かせればうまいと言わざるを得ない。
内容・感想


第7位「武家屋敷の殺人」 小島正樹(講談社 講談社ノベルス)

 これはやりすぎだろ! といいたくなるほどミステリ要素がてんこ盛りの作品。荒削りながらも、今後期待できそうな作家がよくぞ現れてくれたということを素直に喜びたい。年末に出たので、それほど注目されてはいない作品であると思えるが、読み逃すには惜しい本格ミステリ。
内容・感想


第6位「ここに死体を捨てないでください!」 東川篤哉(光文社 単行本)

 今年の“バカミス大賞”をあげたくなる作品。それは決して悪い意味ではなく、良い意味での表現。大掛かりなトリックを用いながら、うまく東川氏らしい世界を展開させている。
内容・感想


第5位「追想五断章」 米澤穂信(集英社 単行本)

 文学系小説とミステリ小説の融合・・・・・・とまで言ってしまうと大げさかもしれないが、この作品を読むと米澤氏がライト系の作品を書くだけの作家ではないということを痛切に感じ取ることができる。
内容・感想


第4位「玻璃の家」 松本寛大(講談社 単行本)

 今年は本格ミステリ系の長編が少なかったなか、新人作家である松本氏のこの作品が一推しである。処女作であるがため、未熟と感じられるところはあるにせよ、本格ミステリ・スピリットを十分に感じ取ることのできる作品である。
内容・感想


第3位「死蝶天国」 柄刀一(講談社 講談社ノベルス)

 ここに掲載されている短編の全部が全部よいというわけではないのだが、本格ミステリに真正面から取り組んだ短編集であるということは確か。特に「聖なるアンデッド」という作品は柄刀氏らしい奇想系のミステリ作品としての完成度が高い。2010年は長編にも期待したいところ。
内容・感想


第2位「鬼の跫音」 道尾秀介(角川書店 単行本)

 ホラー系の短編ながら、サプライズが盛り込まれていて読者を飽きさせることのない作品集として仕上げられている。ホラーとミステリとがきっちりと融合された、非常によくできた作品集。短編集ながらもランキングの上位に上げざるを得ないできばえ。
内容・感想


第1位「密室殺人ゲーム2.0」 歌野晶午(講談社 講談社ノベルス)

 モラルなんかはぶっ飛ばせ! とばかりにまさかの続編が登場。1作目が出たときは、あまりの飛びっぷりに度肝を抜かれてしまったが、2作目ともなるとさすがに読むほうにも余裕が出てくる。やっていることは非道であるが、本格ミステリという観点からすると非常に優れているといわざるを得ない小説であることがわかる。これこそ“2009年最凶のミステリ作品”と呼ぶに値するであろう。
内容・感想







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