Grand U-gnol   2007年国内ミステリBEST10


順位タイトル著 者出版社
1位密室キングダム柄刀一光文社
2位首無の如き祟るもの三津田信三ミステリー・リーグ
3位インシテミル米澤穂信文藝春秋
4位前巷説百物語京極夏彦角川書店
5位女王国の城有栖川有栖東京創元社
6位リベルタスの寓話島田荘司講談社
7位晩餐は「檻」のなかで関田涙ミステリー・リーグ
8位片眼の猿道尾秀介新潮社
9位少年検閲官北山猛邦ミステリ・フロンティア
10位天帝のつかわせる御矢古野まほろ講談社ノベルス

次点 「四神金赤館銀青館不可能殺人」倉阪鬼一郎、「赤石沢教室の実験」田代裕彦、「異界」鳥飼否宇






第10位「天帝のつかわせる御矢」 古野まほろ(講談社 講談社ノベルス)

 ことしメフィスト賞に選ばれて3冊刊行されたシリーズの中、推しておこうと思ったのは2作目のこの作品。列車内でおこる殺人事件の謎を解くミステリ。余計なパートがあったり、読み手を選ぶ文体であったりと、問題点はいろいろとあげられるのだが、きちんと本格ミステリしているということは間違いのない作品。結構、読み逃している人が多いのではないだろうか?
内容・感想


第9位「少年検閲官」 北山猛邦(東京創元社 ミステリ・フロンティア)

 この作品のために構築された世界のなかで展開されるミステリ。この世界自体が謎であり、その世界のルールを見極めることこそが真相へとつながってゆくのである。ちょっと不思議なファンタジー系本格ミステリ。
内容・感想


第8位「片眼の猿」 道尾秀介(新潮社 単行本)

 まさに読者をだますため、驚かせるために描かれたミステリ。内容自体はハードボイルド調であるが、事件とは関係ないところで、これでもかといわんばかりのだましのテクニックが挿入されている。さらに本書はアットホームな物語であったりもする。
内容・感想


第7位「晩餐は「檻」のなかで」 関田涙(原書房 ミステリー・リーグ)

 閉ざされた空間のなかでルールにのっとったゲーム性の高いミステリが展開されている作品。“殺人者”は誰なのか? “探偵”は謎を解けるのか? そしてその他の人々の役割はいったい? 論理的な推理が炸裂する本格ミステリ。
内容・感想


第6位「リベルタスの寓話」 島田荘司(講談社 単行本)

 去年の「UFO大通り」に引き続き、今年も中編2作でミステリファンの度肝を抜いた! “リベルタスの寓話”にまつわる惨殺劇、そして水槽のある閉ざされた部屋の中での密室殺人事件。これらの謎を快刀乱麻の如く、御手洗潔が解決する!!
内容・感想


第5位「女王国の城」 有栖川有栖(東京創元社 単行本)

 待ちに待ったこのシリーズ。どんなミステリを展開させてくれるかと思いきや、緻密で論理的な推理によって犯人を当てるという華麗な技を披露してくれる作品。宗教団体の敷地内で不可侵とされている洞窟の状況から江神の論理が炸裂する。
内容・感想


第4位「前巷説百物語」 京極夏彦(角川書店 単行本)

 当然のことながら本格ミステリ作品ではないのだが、どうしても評価が高くなってしまうこの作品。いったん、読み出したらページをめくる手が止められなくなってしまうリーダビリティは圧倒的である。シリーズ四作目となる今回は、主人公・又市による“損料”というものの考え方に惹かれてしまった。
内容・感想


第3位「インシテミル」 米澤穂信(文藝春秋 単行本)

 関田氏の「晩餐」と似たような展開がなされるミステリ作品であるが、個人的にはこちらのほうに軍配をあげたい。推理、論理はもとより、アンチミステリーであったり、お金の計算であったりと、さまざまな要素が詰め込まれたバラエティに跳んだミステリ作品。
内容・感想


第2位「首無の如き祟るもの」 三津田信三(原書房 ミステリー・リーグ)

“厭魅”に続き、またもや、やってくれた。今作は村に伝わる儀式の最中に起こる怪事件。奇怪な謎の連鎖に、読んでいるものは途方に暮れるしかすべはない。しかし、その謎がある一点に着目することにより、一気に謎が連鎖的に解決されてゆくことに! 明快なる真相への到達ぶりが光る作品。
内容・感想


第1位「密室キングダム」 柄刀一(光文社)

 なんといっても、こういう大味の作品が大好きだ。密室・密室・密室・密室・密室、豪華絢爛五つの密室がひとつの作品に収められている。さらに重要なのは、それぞれの密室に深い意味付けがなされていること。決してただ単に扉を閉ざしたというだけでは終わらない作品となっている。また、奇術師の家系にまつわる複雑な動機もよく練られている。最近、“密室”が足りていないという人もおなかいっぱいになるであろうこと請け合い。
内容・感想







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