2020b

第10位「龍　探」　長沢樹（角川書店　角川文庫）

　これぞ近未来ハードボイルド。作品のほうが現実世界の先を行っているようで、読者の感覚を軽く飛び越えていってしまう。文庫だからと言ってあなどるなかれ。じっくりと腰を据えて読み込んでいただきたい。

第9位「狐火の辻」　竹本健治（角川書店　単行本）

　次々と語られてゆく都市伝説。ただ語られてゆくだけかと思いきや、都市伝説のルーツを調べていくと、そこにとある作為が見え始め･･････

第8位「ワトソン力」　大山誠一郎（光文社　単行本）

　探偵は皆だ！　ワトソンは僕だ！　主人公の周囲にいる人たちを名探偵にしてしまうという能力。そんな能力ゆえに、どんな場所、どんなときでも本格ミステリが展開されてしまう。ライトな感覚でありながら、内容の濃い本格ミステリ短編集。

第7位「エンデンジャード・トリック」　門前典之（南雲堂　単行本）

　今年一推しの大掛かりトリック在りきのミステリ作品。どう見ても怪しげな建物で、やはり怪しげなことが起こっちゃう。

第6位「揺籠のアディポクル」　市川憂人（講談社　単行本）

　まさに終末小説という感じの作品。登場人物が少ない中、密閉された隔離区域のなかで起きた殺人事件。犯人は誰？　よりも世界の構造についてのほうが気になってしまう作品。

第5位「クスノキの番人」　東野圭吾（実業之日本社　単行本）

　ここ最近の東野氏の作品は、読み終わるとすぐに内容を忘れてしまうものが多かったのだが、この作品は読み応え在り！　クスノキの謎、そして青年の成長を描き、さらにはミステリとしても魅せてくれる作品。

第4位「欺瞞の殺意」　深木章子（原書房　単行本）

“毒殺ミステリ”などは読み飽きたという人ほど、是非とも読んでもらいたい作品。古さと新しさを兼ね備える、独特の本格ミステリ。

第3位「孤島の来訪者」　方丈貴恵（東京創元社　単行本）

　鮎川哲也賞受賞者の2作品目。内容はなんと謎の生物による連続殺人事件を描いたもの。ただし、推理は論理的思考で行われている。年末に出たばかりの作品なのでまだ話題にはなっていないようであるが、読み逃した人は急いで読むべし!!

第2位「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」　柄刀一（東京創元社　創元推理文庫）

　元々は短編作品であったものを長編にリニューアル。今年出版された中では数少ないガチガチの本格推理小説。

第1位「暗黒の羊」　美輪和音（東京創元社　創元推理文庫）

　2020年はこれがブレイク！　って思っていたら、各種ランキングでもほとんど取り上げられていなかったのでびっくり??　私の感覚がおかしいのか？　未読の方は年末年始、試しに読んでみて。